家電口論

2017年5月26日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

ドローンの長所、ドローンの短所

 ドローンの長所はいくつもあるが、一番大きな点は、ホバリング(空中静止)ができる点だ。そしてノビシロが大きい点も挙げられる。どんな所でも荷物の受け渡しができるし、写真撮影などもしやすい。

 ホバリングほどではないが、小回りが利くことも長所として上げられる。インフラ点検などで、人だと入っていけないような所、入るにはいろいろな装備を用意しなければならない所でも入っていけるのも大きなメリットで、効率的にインフラの点検ができるのも、小回りが利いてこの性能があってこそである。

 またノビシロが大きいため、今後もドローンはどんどん進化して行くと考えられる。バッテリーの進化で航続距離をのばし、プロペラの改良、モーターの改良で、飛行効率ももっとよくなるとされている。またAIによる完全無人飛行の可能性もある。今、挙げたのはよく言われている可能性だが、ノビシロの幅はすごくが大きくいため、いろいろなことができる様になると考えられている。

 次に短所だが、一番の短所は墜落の可能性があることだ。地球には重力があるので、この可能性は回避できない。その他、突風に弱い、雨に弱いなどの欠点があるが、いずれの場合も最悪の事態は墜落となる。

 また、本格的に使われるようになると、騒音も問題になると思われる。「ドローン」という名前は「雄バチの羽音がドローンのプロペラが回転する風切り音に似ている」ことから来ていると言われているが、まあ静かとは言えない。赤ちゃんなら起きてしまうだろう。近くで数台飛行していたら、クレームになるのではと思われる。

今ドローンが使われている分野

 今、ドローンが使われているのは、「写真撮影」「測量」「建物、インフラの点検」「農薬散布などの農業サポート」が主だ。しかし、これらはドローンに期待されている分野の一部でしかない。「配送」「救急医療」「災害対応」「警備」等々。今以上に大きな分野での使用が期待されているのがドローンだ。2020年にはオリンピックで「警備」がクローズアップされるだろう。私などは、自分のちょい後ろを付いて廻るドローンが欲しい。手ブラで歩けるし、買い物だってラクラクだ。

 最近、どっと増えているのが「ドローン学校」だ。クルマで言うと、第二種大型免許(業務用の大型トラック)の教習所のようなもの。ただし国家免許はないので、あくまでも学校で学びましたということだが、操縦は経験がモノを言う分野であり、業界ニーズは高いと聞く。

 さらに視点を拡げると、国際規格競争もある。経産省が宇宙航空研究開発機構と協力して衝突防止技術や自動管制システムを開発し、2025年を目標に国際規格を策定しに行くと報道されたのは、2017年2月。その実用化テストに、今回の提携は大きな役割を担うのではないかと思われる。

 ただ、ドローンは軍事技術の側面を持つため、この話がそのまま進むのかは疑問符が付く様に思う。

災害に強いインフラ

 いろいろ書いたが、一度、ドローンハイウェイが整備されてしまうと、日本は手放せなくなってしまうだろう。特に災害が多い日本ではそうだ。よく被災地には復興のために、善意の救援物資が集まるが、上手く使われていないという報道は枚挙に暇がない状態だ。ドローンは荷物を少量ずつ、運ぶのが鉄則。つまり現場のニーズにより、少量ずつモノを配送することが可能なため、現場毎に必要なモノを的確に送付できる。

 その上、災害にも強い。電力は、東日本大震災の時でも、3日後には通電していたという。また鉄塔は高層ビルより軽く、地震にも強い。地震に強く、倒壊したという話はないということだ。

 つまり台風のような悪天候を伴う災害でなければ、ドローン配送は災害時でも使えるということだ。これは災害が多い日本としては、是非欲しいシステムの一つだ。

物理ネットワークを持つということ

 ちょっと話は変わるが、私はこの話を聞きながら東芝のことを思い浮かべてしまった。東芝は現在、いろいろな事業を切り出し、売りに出している。正直、復活は厳しいと思う。理由は、弱体化した、古いと言われながら日本の総合家電メーカーが生き残ってきたのは、いろいろな事業を合わせて総合することにより、強みを見い出してきたからだ。

 ところが、東電は、倒産しなければならない状態になりながらも、ほぼそのままの状態で残っている。電力会社としての頭から尾までのビジネスを傘下に収めている上、物理的な電力ネットワークも残っている。それが新しいビジネスを起こす時に大きな強みとなっている。

 今回は、この物理的な電力ネットワークをベースにしたビジネスプランでだが、これはビジネスを切り売りしなかったため、できたことだ。

 東電は、福島の復興を先頭に立って支える義務がある。また事故を起こした福島の原子力発電所を、後日に憂いなきように確実に廃炉にする必要がある。補償金も膨大に上がるし、廃炉費用も膨大になる。ドローン・ハイウェイが実用化されると、かなりの金額が入って来て、それを福島のために使えるはずだ。

 この構想を聞いた時、物理ネットワークを持っている者は強いと感じると同時に、切り出さなかったからこそ、お金を払える可能性が残ったとも思った。

  
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