2024年4月26日(金)

したたか者の流儀

2017年5月18日

 ちなみに2002年以降フランスの大統領は5年任期となり、その後は2期務めることができた人はいない。たとえミッテランであっても1986年に改選であれば、当選できたかはわからない。ましてや、サルコジやオランドでは5年で何かを見せることはできないのは当然かもしれない。

 さて、マクロン。通貨安も減税も金利低下も財政拡大の可能性が絶たれている中で、5年で再選されるような名大統領になれるのであろうか。無理であろう。では、彼はどうするであろうか。

方法は二つしかない

 聡明なマクロンなら方法は二つしかないことにすぐ気が付くに違いない。勿論EUや通貨ユーロ離脱も一つの手段だがこれは禁じ手として使うことはできない。なぜならマクロンはユーロ主義者であるからだ。

成功のケース① 日本のバブル期を思い出してほしい。あらゆる企業が立派な利益を上げることができた。虚弱体質の企業でも生き残っていた。その後に起きることを忘れれば、バブルが発生すればすべてOKとなる。すなわち、ドイツに緊縮政策を改めさせてジャブジャブな状態にしてもらえばすべての問題は解決する。ドイツのうるさ型金庫番財務大臣の退任の話も出ている。時来たりかもしれない。しかし、その後の後始末は誰がするのだろうか。フランス語にも「跡白波」という言葉がある。それも王様がつかった言葉だそうだ。ただし、フランス語では波ではなく洪水という。

成功ケース② このところフランスの大統領は就任しても、意地をはってメルケル詣でを遅らせてしまうことが多い。サルコジはメルケルに失礼をかましたからか、語学の得意なメルケルの18番はサルコジの物まねだそうだ。今回は、マクロンはドイツに恭順の意を表して首相と2人して至急会った。すなわちドイツの鞄持ち、または子犬といわれても、独仏で幸せになるというシナリオだ。フランスの名誉が傷つくので不人気となるかもしれないが。

失敗ケース 国民議会もコントロールできず、労働者はゼネストを打ち。ずたずたになって野垂れ死。

マクロン大統領閣下、どれを選びますか。

  
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