世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年5月23日

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 ウォール・ストリート・ジャーナル紙のヘニンガー論説室副委員長が、4月19日付同紙掲載の論説で、マティスとマクマスターが形成するトランプの政策は両氏のイラク体験に基づいた同盟重視政策だ、と述べています。要旨は次の通りです。

(iStock)

 トマホークによるシリア攻撃、アフガニスタンでの大型爆弾投下の後、世界はトランプの外交政策とは何かと考え始めている。彼はネオコンなのか、スコウクロフト流のリアリストなのか、それとも森の中のうぶな人間なのか。

 戦略はマティス(国防長官)とマクマスター(NSC補佐官)の頭の中である。議会承認公聴会でマティスは、NATOは「おそらく近代で最も成功している軍事同盟」だと述べた。これはトランプが述べてきた「NATOは時代遅れだ」という見解と矛盾していた。ところが、ストルテンベルグNATO事務総長と会談した後トランプはNATOについて「自分は時代遅れだと言ったが、もはや時代遅れではない」と述べた。

 一言で言えば「同盟」がトランプ外交の鍵であると言えるかもしれない。ソ連崩壊後、外交専門家は世界の超大国としての米国の正しい役割につき議論を始めた。リベラリストは米国が同盟システムの頂点に居ようとするのは時代遅れだ、むしろ国連なども含め同盟国の平等なパートナーとして行動すべきだと主張した。オバマの時代にはフラットな同盟関係、すなわち背後からリードするという考え方が言われた。しかし、それではうまくいかない。

 マティスとマクマスターがトランプ外交の設計者だとすれば、彼らのイラク体験が政策を形成しているかもしれない。イラク戦争で米が行っていたことは圧倒的な力で敵を破ることだった。しかしマティスはアンバール県で、マクマスターはタルアファルで力だけでは勝てないことを知った。代わりに彼らは地元の人々や部族長達の賛同を求めた。それに応えて米軍は新たな同盟者に安全を提供したのである。

 戦略的に言えば、いかにして米国が永遠の占領軍にはならないで変転する世界を安定させるかということである。マティスとマクマスターがイラクで学んだことは、同盟者を作ったならばその同盟を維持しなければならないというものだ。

 だから、ペンス副大統領は南北非武装地帯に立ち米韓同盟を再確認した。翌日には日本を訪問した。最近トランプはヨルダンのアブドラ国王、エジプトのシシ大統領、サウジのサルマン副皇太子と会った。彼らは中東の部族指導者あるいは同盟者である。米がシリアやアフガニスタンでの軍事的成果を確固としたものにするためには(場合によってはシリアを部族地域毎に三分割することを含めて)彼らの賛同が必要である。

 マティス・マクマスターの外交政策は軍事的経験から生まれた柔軟戦略として形成されつつある。それは外交、金融、必要ならば軍事圧力を使用する用意のあるパートナーとの公式、非公式の同盟関係を基礎とする。そこには「見捨てる」という言葉はない。

 それは共にリードする米国と言えるかもしれない。しかし実際は米がリードしているのである。

出典:Daniel Henninger,‘A Trump Alliance Strategy’(Wall Street Journal, April 19, 2017)
https://www.wsj.com/articles/a-trump-alliance-strategy-1492642904

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