世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年5月23日

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 筆者は、トランプの外交政策の裏にはマティスとマクマスターのイラク体験があり、軍事力だけでなく部族長を含め地元の人々の賛同を獲得する同盟の政策が重要だとの考えがあるとしています。

 トランプは同盟に敵対的な発言をして、日本等同盟国を心配させました。また、米国が世界で果たしてきた特別の役割を全く理解していないのではないかとの不安を与えました。しかし、その不安は完全ではないが払拭されたと言えます。トランプの身代わりの速さ、軽さには驚かされますが、結果としては良いことです。それをもたらしたのは、日本を含む同盟国首脳の努力もありますが、マティスの功績が大きいでしょう。マティスの辣腕がトランプを変えたのです。

一番大事なのは、やはり同盟とコアリッション(有志連合)

 今の世界で一番大事なのは、やはり同盟とコアリッション(有志連合)です。一国では対処できません。また、孤立は不安定で不経済です。西側の力は同盟のネットワークを持つことにもあります。これは、中国、ロシアには欠けていることです。

 ヘニンガーのいうトランプ政権の同盟・柔軟戦略で欠けていることがあるとすれば、どういう世界を構想するかという大戦略ではないでしょうか。問題解決の戦略はマティス等が構築することに成功しました。今後大事なのは戦略のゴールを持つことでしょう。しかし、困ったことにトランプはそんなことには全く関心がないのでしょう。それが、トランプが「取引型のリーダー」と言われる所以です。しかし、真の指導者あるいは真の外交政策のためには、変革的でビジョンを持ったリーダーシップが必要です。果たしてトランプ政権にそれを期待できるでしょうか。

 トランプ政権の発足に際し、日本は日米同盟を旨く作動させるために賢明な行動を取りました。世界からも見直されているのではないでしょうか。最近、国際政治学者のアイケンベリーは、「挑戦を受ける世界の自由民主的秩序を守るために今期待できるのは日本のアベとドイツのメルケルだ」と述べていますが、そういうことかもしれません。日米同盟は、戦後一貫して遅々とはしていましたが着実に深化してきました。日米が努力した結果ですが、日本の指導者達も時には十分に理解を示さない国内世論に忍耐強く対応してきました。同盟は、時には難儀なものとなりますが、双方の間断ない努力、それぞれの利益を均衡させる努力等があって生き延びるものでしょう。引き続き日米同盟に絶え間ない努力をしていくことが重要です。

  
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