こんな子 こんな時 こんな絵本

2010年7月15日

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安冨ゆかり (やすとみ・ゆかり)

JPIC読書アドバイザー

JPIC(財団法人出版文化産業振興財団)読書アドバイザー。一女の母になったことから絵本の世界へ。書店や病院などでの読みきかせ、おはなし会で、子どもたちと絵本の世界を楽しみ、各種イベント・講習会など、絵本や読みきかせの楽しさを伝える活動にも参加している。別冊太陽「心をつなぐ読みきかせ絵本100」「続・心をつなぐ読みきかせ絵本100」(平凡社)執筆メンバー。

 日々の会話の中や目にするものに、『夏休み』という言葉がちょくちょく顔を出す時期になりました。子ども時代のような夏休みが過ごせるわけでもなく、暑さにめげる毎日が続くだけとわかっていながら、何かを期待して、心待ちにしている自分がいます。

 書店や図書館でも、夏休みを意識したキャンペーンや特集が始まっています。この時期、今も昔も気の重い宿題の代表である読書感想文のための課題図書と共に関心を集めるのが、自然の仕組みを知る、科学絵本と言われるジャンルの本たちです。科学絵本は、物語絵本のようにストーリーを楽しむのとは別の、好奇心を満たす喜びを味わうことができます。動物、植物、昆虫に恐竜、宇宙のことetc.とにかくテーマが多いので、今回は、『出かける』をキーワードにして選んだ本をご紹介します。

多摩川を空から見てみると…

 子どもが幼稚園の頃、最寄の駅で「たまがわを歩こう!」と書かれたポスターを見つけました。鉄道駅をスタートとゴールに設定し、多摩川流域を4回に分けて歩くというもの。自分たちのペースで歩けばよく、各回ごと完歩すれば記念品も出るという文句にひかれて、家族で参加することにしました。もともと多摩川は、私にとって、最も親近感のある川です。子どものころ、カエルを捕ったり、滑って水浸しになったりの川遊びもしました。上流にあるダムを見に行ったこともあります。今も列車で西へ旅するとき、多摩川に架かった橋を通過すると、東京を出発すること、帰ってきたことを感じます。それにしても、私が馴染んでいる多摩川は、全長138kmのうちのわずかの部分。自分の知らない多摩川はどんな様子なのか、見たい気持ちはずっとありました。

『日本の川 たまがわ』(階成社) 村松昭作   多摩川の源流から、海に流れ込むところまでを空から見ていく絵本。多摩川に関する歴史も学べ、大人も一緒に楽しめる。 

 実際に多摩川の川端を歩いたのは、中流から下流へ40kmほどでした。表情を変える川、周辺の景色を見ながら、子どものペースに合わせて一緒に歩いたことは、ある種の達成感と共に忘れがたい想い出になっています。時おり思い出しては、「よく歩いたもんだ」などと話していたら、『日本の川 たまがわ』(偕成社)が出て、いつでも多摩川の旅ができるようになりました。源流から海へまで、神さまとお使いの男の子が雲に乗って空から見ていくという趣向で、流域の様子が俯瞰図で描かれ、自然や歴史などの情報が添えられています。「たまがわを歩こう!」の前にこの本を読んでいたら、道中の楽しみがまた変わっていたかも……と思うと、ちょっと残念に思いました。現在は、『日本の川 ちくごがわ』『日本の川 ちくまがわ・しなのがわ』と仲間も増えています。

 近年の七夕は、梅雨時のためか、天の川を探すことができない年が続いていますが、子どもの頃はもっと夏模様で、夜空を見上げたことを覚えています。ただし、天の川も織姫星(ベガ)も彦星(アルタイル)も一向に見分けることはできぬまま、今に至っています。

 初めてプラネタリウムへ行ったのは、小学校の社会科見学だったでしょうか。座り心地のよいイスに埋もれ、音楽に乗った解説を聞きながら見上げたドームの夜空(?)は、圧倒されるほどの星・星・星…! 不思議な感覚を味わいながら覚えた星座は、カシオペア座とオリオン座くらいでした。ギリシャ神話を聞いたのも、そのときが初めてだったと思います。

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