2024年4月26日(金)

赤坂英一の野球丸

2017年5月31日

 しかし、ここで稀勢の里が長期休場にでも入れば、せっかく日本出身横綱の誕生で盛り上がっているムードが一気にしぼんでしまいかねない。夏場所で1年ぶりに優勝した白鵬も、魁皇の持つ歴代最多記録1047勝の更新(現在1036勝)、通算優勝40回(現在38回)到達を目指すと宣言。このモンゴル人大横綱にまた日本出身力士が食われやしないか、私のような日本人の好角家は大いに気になるところだろう。

髙安を中心とした新たな世代が台頭

 そこへ、大相撲の流れを変えるポイントになりそうな力士がもうひとり現れた。夏場所で3場所連続2桁勝利を収め、勢いに乗って日馬富士も撃破し、関脇から大関への昇進を決定づけた髙安である。稀勢の里と同じ田子の浦部屋の弟弟子で、日本人の父、フィリピン人の母を持つハーフ力士だ。「今後はこの髙安を中心とした新たな世代が台頭してくるのではないか」と、ある親方はこんな観測を相撲記者たちに披露している。

 「例えば野球の世界では、フォークやスライダー、つい最近ではツーシームなど、時代によって流行する球種が変わるだろう。相撲にも似たような傾向があって、これまでは白鵬や稀勢の里のような四つ相撲が主流だった。しかし、今後は髙安のような突き押し相撲が主流になる可能性がある。実際、御嶽海、大栄翔など、髙安と同じスタイルの相撲を取る若い世代が増えているからね」

 ちなみに、御嶽海も髙安と同じ日本とフィリピンのハーフだ。新大関・髙安をはじめとする彼ら〝第3勢力〟が日本出身横綱とモンゴル人横綱の〝抗争〟にどう割って入るのか。これからの土俵は群雄割拠。様々な個性と世代のぶつかり合いが繰り広げられることになりそうだ。

  
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