BBC News

2017年5月30日

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6月8日の総選挙を前に、テリーザ・メイ英首相と野党・労働党のジェレミー・コービン党首は29日、生中継の選挙特別番組に出演し、スタジオの観客からの質問に答えた。党首討論会ではなく、それぞれ個別に出演した。党首討論会については、メイ首相が参加を固辞している。

コービン党首に対しては、ドローン(無人小型機)攻撃や増税計画、北アイルランドでの過去の活動などについて質問が重ねられた。

メイ首相は、与党・保守党が進める社会保障政策の有効性を主張した。ブレグジット(英国の欧州連合離脱)については、国民投票前は残留派だっただけに、意見を変えたのかと繰り返し質問された。

スカイ・ニュースとチャンネル4が放送した選挙特番「ダウニング街10番地の戦い」では、コイントスで勝ったコービン党首が先に出演することを選んだ。

まずは労働党党首

スタジオの観客との質疑応答では、小規模企業の経営者が法人税引き上げや私立校学費への付加価値税課税など、労働党の「すさまじく近視眼的な政策」を批判した。

これに対してコービン氏は、「この国は、とても金持ちな人たちととても貧しい人たちの間で、分断している」と答え、大勢の子供がおなかをすかせて学校に通い、「巨大に膨れ上がった」学級に通っていても「幸せ」なのかと質問者に聞き返した。

北アイルランドでの選挙活動については、武装組織アイルランド共和軍(IRA)メンバーの追悼式に出席したことを非難する人もいた。

これに対してコービン党首は、自分は1970年代や1980年代には「対話」の機会を求めていたのだと説明し、「北アイルランドで死んだすべての人のために」に黙祷(もくとう)したのだと述べた。

外国のテロリストが英国攻撃をたくらんでいる場合、ドローン攻撃を命令するかどうかの質問には、「まずはどういう状況か知る必要がある」と答えた。

「証拠もなしに仮定の質問には答えられない」と、コービン氏は言明を避けた。

さらに観客はブレグジットについて相次ぎ質問。離脱に投票した有権者は移民規制強化を求め、残留支持者は本当にこのままEU離脱を推進するのか尋ねた。

コービン氏はこれに対して、移民の具体的な受け入れ人数を言明することは避け、労働党は賃金引き下げを阻止するために努力すると述べた。

残留支持者に対しては、労働党としては「国民投票の現実を受け入れなくてはならない」と答えた。

共和政を強力に主張してきたコービン氏に対して、司会のジェレミー・パックスマン氏は、なぜ労働党は王制廃止を公約に含まないのか問いただした。

「廃止しないから公約に入れていない」とコービン氏は答え、「女王とはとてもすてきなおしゃべりをした」と付け加えた。

過激派勢力アルカイダの最高指導者だったオサマ・ビンラディンの殺害をかつて「悲劇」と呼んだことについては、拘束して裁判にかけるべきだと考えていたからだと説明した。

さらに、2009年の時点でイスラム原理主義組織ハマスを「友人」と呼んだことについては、中東和平を話し合う下院審議で2国家解決案を主張するため「なるべく大勢を取り込む表現」を選んだのだと話した。

次に与党党首

続いて登場したメイ首相に対しては、スタジオの男性が与党保守党の社会保障修正案は「認知症税」だと批判。保守党は、高齢者の長期在宅介護の自己負担拡大につながる案を示しており、批判する人たちに「認知症税」と呼ばれている。

これを受けて首相は、国民の費用負担に上限を設けると認めたものの、具体的な内容には触れなかった。保守党の選挙公約は、個人負担の上限設定に言及していない。

首相は、社会保障のどこにどのような負担上限を設けるべきかは慈善団体や有権者の意見をよく聞くつもりだと述べた上で、改革しなければ社会保障制度は「破綻する」と言明した。

健康保険を全国民に提供する国民保健サービス(NHS)については、観客の質問に答えて、「一流」の医療制度を望んでいるのでNHS予算は増額すると述べたが、「本当に強力な経済」がなければその費用捻出(ねんしゅつ)は不可能だと指摘した。

「まさにここに、ブレグジットの交渉が関わってくる」と首相は述べた。

首相はさらに、裕福な年金生活者は冬場の光熱費補助を受けるべきではないという持説をあらためて主張し、これに賛成する年金生活者たちと実際に会って話をしていると述べた。

司会のパックスマン氏は首相に繰り返し、ブレグジットについて意見を変えたのかと尋ねた。これに対して首相は、「ブレグジットを成功させられると私は考えている」と答えた。首相はさらに、国民投票はブレグジット議論に明確な「線を引いた」のだと述べた。

解散総選挙を決めた理由については、野党がブレグジットの手続きを「妨害しようとしていたから」だと答えた。

移民政策については、前内相でもある首相は、移民総数を10万人未満に抑えるという政府目標が未達成のままだという批判について、「ひとつの決め手」で解決する問題ではなく、「絶え間ない努力が必要だ」と話した。

他の政党は

自由民主党のティム・ファロン党首は、両党首が失言を重ねたと批判。社会福祉予算の上限を引き上げるというコービン氏の約束には財源の裏付けがなく、メイ首相は「認知症税」でどれほどの人が影響を受けるのか言明しなかったと、ファロン氏は指摘した。

スコットランド国民党(SNP)のパトリック・グレイディ議員は、「なぜ首相が党首討論を固辞し続けてきたのか、これでよく分かった」と述べた。

ウェールズの「プライド・カムリ」は、ウェールズが話題に上らなかったことを批判した。緑の党は、メイ首相が「不公平な」社会保障改革について答えを「はぐらかした」と批判した。

(英語記事 General election 2017: Jeremy Corbyn and Theresa May face TV grilling

提供元:http://www.bbc.com/japanese/40089704

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