世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月6日

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 この論説は、トルコの外交政策における変化が起こっていること、それが西側にとりトルコの喪失になっていること、を良く描写しています。

 ネオ・オットマン主義よりも、ロシアへのトルコの接近がより大きな問題を提起するように思われます。NATOの全会一致主義がトルコを通じたロシアの策謀で、NATOを麻痺させることに貢献するような事態は避けられるべきでしょう。

時期を逸したトルコのEU加盟

 トルコ側がEU加盟を熱望していたときに、EUにトルコを迎え入れておけば、こういう事態にはならなかったと思われます。将来を見越して、多少の不満は乗り越えて、大きな決定をしておくべき時がありますが、EUはイスラム嫌いの世論を前にそういう決定をし損ねました。もうトルコのEU加盟はないでしょう。

 今後、トルコとの関係を米欧としてどうしていくか、難しい問題ですが、熟慮する必要があります。

 経済面では、EUとの連携にトルコがメリットを見出すような関係に、そして、政治軍事面では、NATOとの関係をトルコが重視するように持っていくことが肝要です。エルドアンを処罰するような政策よりも、彼を包み込んでいくような政策が必要でしょう。トルコは地政学上、重要です。簡単に排斥していい国ではありません。

 しかし、そのことは、エルドアンに無原則に宥和的になることを意味するものではありません。米国のトランプ政権は、シリアのクルド武装勢力に武器供与する決断をしました。IS(イスラム国)の拠点ラッカを攻撃する兵力として、クルドの部隊は貴重です。トルコは激しく反発していますが、やむを得ない事でしょう。

 NATOの一員たることが西側の価値、特に人権の擁護の面で何を意味するのかをもっとはっきりさせるべきでしょう。共通の価値に基づく同盟であることを強調すべきです。

 日・トルコ関係は良好です。日本が果たしうる役割もあるのではないでしょうか。

  
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