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2017年6月4日

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ロンドン中心部のロンドン橋と近くの市場で3日深夜、ワゴン車や刃物で歩行者を攻撃する事件が相次いだ。ロンドン警視庁は当初、6人が死亡し、少なくとも48人が負傷したと発表したが、4日になって死者数は7人に増えた。3人の男性容疑者は射殺したという。警察はテロ事件として捜査している。

テリーザ・メイ英首相は4日朝、緊急治安閣僚会議(COBRA)を開いた後に官邸前で演説し、「『もうたくさんだ』と、言わなくてはならない時がきた」と、テロ対策の本格的な見直しを表明した。

首相は、現時点では5月22日のマンチェスター攻撃と今回の攻撃は「ネットワークではつながっていないようだが」、イスラム過激主義でつながっていると批判。また最近のテロ攻撃には一定の「傾向」があり、慎重な計画や訓練によるものというより、互いの粗雑な攻撃法を真似し合っていると指摘した。

「テロはテロを育てる」と首相は述べ、「何もかも今まで通りというふりはできないし、そのようなふりをしてはいけない」と言明。加えて、過激主義に対する英国社会の過度な寛容姿勢を批判した。その上で首相は、イスラム過激主義の打倒こそ「この時代の我々にとって最大の課題の一つ」だと述べ、インターネット上を含めたイスラム過激主義や過激思想の取り締まり強化などを約束した。

調べによると、ロンドン橋で3日午後10時(日本時間4日午前6時)すぎ、ワゴン車が複数の歩行者を倒して、死傷させた。また近くのバラ・マーケットでは、刃物で大勢が刺された。バラ・マーケット周辺は飲食店が多く並ぶ人気スポットで、土曜夜は特に混雑している。

4日朝も現場周辺は立ち入り禁止で、ロンドン橋とバラ・マーケット、近接するサザーク橋は閉鎖されている。

ロンドン警視庁のクレシダ・ディック警視総監は4日朝に記者会見し、死者が7人になったと明らかにした。

その一方で警視総監は、最初の通報から8分以内に容疑者3人を射殺したことを強調し、ロンドン住民がある程度「怖い思い」を抱くのは理解できるが、「過剰反応したり、自分の苛立ちをコミュニティーの他の人や他のコミュニティーに向けて八つ当たりしたりするのが、一番困る」と強調した。

英国では8日に総選挙が行われるが、与党・保守党と労働党とSNPは国政選挙の選挙運動を一時中止すると発表した。これに対してイギリス独立党(UKIP)のポール・ナタル党首は「それこそ過激派の思うつぼだ」と反発。首相は5日には選挙運動を再開し、投票は予定通り8日に実施すると表明した。

英国では3月に同じロンドンの議事堂周辺で60人近くが車両と刃物によって死傷する攻撃があり、5月にはマンチェスターのコンサート会場への爆弾攻撃で140人近くが死傷したばかり。

ロンドン救急サービスは、48人を市内5カ所の病院に搬送したと話している。また現場では複数の軽傷者が手当てを受けたという。

負傷者の一人は、現場で刺された英交通警察の警官。頭や顔、両脚に負傷し重体だが、命に別状はないと言う。

目撃者たちによると、白いワゴン車は北向きに走行した後、橋の上では禁止されているUターンで向きを変え、橋を南向きに歩道を走った。歩行者を跳ねながら暴走した後、橋の南側たもとにあるパブの近くで歩道に乗り上げ停止。刃物を持った男3人が車から出て、バラ・マーケットの方へ走ったという。

ロンドン警視庁のマーク・ロウリー警視監は4日未明、「最初の通報から8分以内に、警察は容疑者と対峙(たいじ)し、発砲した」、「容疑者らは爆発チョッキのようなものを着ていたが、後にこれは偽物と判明した」と記者団に話した。

バラ・マーケットに居合わせたカメラマンは、缶容器のようなものを体に巻きつけて地面に倒れた男性の写真を撮影し、ソーシャルメディアに投稿。容器は「本物に見えなかった」とBBCに話した。カメラマンによると、倒れた男は警察に撃たれて腕から血を流していた。通りの向かいでも同様に、爆弾ベルトのようなものを着けた男が撃たれて倒れていたという。

ロウリー警視監は、事件に関与したのは射殺した容疑者3人のみだろうと現時点では考えていると話した。

警察は水上艇で、橋から川に落ちた人がいないか捜索している。

メイ首相は事件直後、「ロンドンのひどい事件は、テロ行為の可能性があるものとして捜査している」と言明した。

カーン市長は、「罪のないロンドン市民に対する、意図的で卑劣な攻撃だ」と強く非難しつつ、ロンドンは依然として「最も安全な国際都市」で、ロンドン市民はテロに脅えて屈したりしないと強調した。

野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、「残酷で衝撃的」な攻撃を非難した。自由民主党のティム・ファロン党首は「恐ろしい事件」を非難し、スコットランド国民党(SNP)のニコラ・スタージョン党首は「ひどいニュースだ」とツイートした。

米国務省は、「ロンドンの罪のない市民を狙った卑劣な攻撃を非難する」とコメント。エマニュエル・マクロン仏大統領は、フランスは「これまで以上に英国を応援する」と述べた。

マルコム・ターンブル豪首相は、オーストラリア人2人が「直接影響を受けた」と発表した。フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン外相によると、フランス人4人が負傷し、一人は重体という。

事件現場周辺の店舗や住民は、影響を受けた人たちに夜の間の避難場所を提供し、ハッシュタグ「#SofaForLondon(♯ロンドンにソファを)」を使ってソーシャルメディアで情報が共有された。

何が起きたのか

テムズ川にかかるロンドン橋で午後10時8分、白いワゴン車が複数の歩行者を倒したと通報があり、武装警察と救急車が現場に急行した。目撃者たちによると、ワゴン車は橋の歩道に乗り上げて暴走したという。

周辺地域は立ち入り禁止にされ、近くの病院や駅は閉鎖された。

発生当時に橋の上にいたBBCのホリー・ジョーンズ記者は、「白いワゴン車の運転手がおそらく時速80キロほどで走行してきた。車道から歩道に乗り上げて、大勢の歩行者の中に突入した」と話す。

「私のすぐ近くでハンドルを切って、5~6人に当たった」

ロンドン橋地区で複数のパブを担当する警備員は、3人の男が4人を刺すところを目撃したとBBCに話した。

ロンドン警視庁は、近親者や友人が事件に巻き込まれたのではと心配する人のため、問い合わせ受付を設置。(英国内からの)電話番号は0800 096 1233 と 020 7158 0197。

警察はさらに、事件に関する写真や動画はこちらに投稿するよう呼びかけている。

バラ・マーケットと同じテムズ南岸から南西約2キロのボークソル地区でも事件発生の通報があり、3つ目の警官部隊が急行したが、警察は後に、この刺傷事件はロンドン橋やバラ・マーケットの事件とは無関係だと発表した。

その後の状況は

複数の負傷者はロンドン橋の現場で応急手当てを受けた後、場所を移動した。目撃者によると、「歩ける負傷者」たちはロンドン橋で川を渡った北側にあるリバプール通りのアンダズ・ホテルに移動させられたという。

ロンドン橋南側のたもとにあるガイズ病院は、患者と職員の安全を守るために閉鎖した。周辺のセント・トマス病院やイブリーナ小児病院でも、同様の措置がとられた。

橋とバラ・マーケットの一帯は立ち入り禁止となり、地下鉄のロンドン橋駅とバラ駅は閉鎖。地下鉄は両駅で停まらずに通過している。

地上鉄道のウォータールー・イースト、チャリング・クロス、キャノン通りの各駅も閉鎖された。

土曜夜には特に混雑するバラ・マーケット周辺のバーやレストランでは、警官が客に店を出るよう指示して回った。

両手を頭に乗せて現場を避難する人たちの姿も見られた。

「女の子を何回も刺していた」

現場近くのパブを出たところだった男性は、バラ・マーケットから橋の方に走る人たちを見たと話す。「走ってきた男の人が、『ナイフを持って人を刺してる』と叫ぶのを聞いた」。

別の目撃者のジェラードさんはBBCに、実行犯たちが「走りながら『これはアッラーのためだ』と叫んでいた」と話した。「若い女の子を10回か15回も刺してた。女の子は『助けて、助けて』って言ってた。助けたかったけど、自分は何もできなかった」。

ジェラードさんによると、実行犯たちはパブやバーに入っていこうとしていた。追いかけたジェラードさんは、ほかの客と共にびんやパイントグラスや椅子を投げつけて阻止しようとしたという。

現場近くのパブにいたというウィル・オートンさんは英PA通信に対して、外から大勢が店内に駆け込んで来たと話した。

「何が起きたのか分からなかった。外でけんかか何かかと思った。そうしたら大勢の人たちが入ってきた」

「店の警備係は本当によくやった。みんなを中に入れて、入り口に鍵をかけたんだ。みんなパニックしてて、ドアのすぐ外でことが起きているみたいだった。入ってくる人たちは、何人も刺されるのを見たと話していた」

一夜明けた4日早朝のバラ地区では、警備員のモハメド・オスマンさんがBBCに対して、警備を通過して職場に入れるようになるまで1時間待たされたと述べた上で、「心配していない。自分には力があるので。敵は我々を分断しようとしているが、みんなして団結しなくては」と話した。

(英語記事 London attack: What we know so far

提供元:http://www.bbc.com/japanese/40147859

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