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2017年6月5日

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ロンドン中心部で7人が死亡、48人が負傷した3日深夜の襲撃事件で、英警察は5日、実行犯らの身元を把握したと明らかにした。

警察は「捜査の上で可能になり次第」、氏名を公表するとしている。

襲撃事件では、ロンドン橋で3日午後9時58分(日本時間4日午前5時58分)、ワゴン車が複数の歩行者をはねて死傷させたほか、近くのバラ・マーケットでは多数の人が刃物で刺された。

過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出している。

警察は5日朝、ロンドン東部にあるニューアムとバーキングの2カ所で家宅捜索を行っていると発表した。

ロンドン警視庁によると家宅捜索の結果、多数の人物が拘束された。バーキングでは、実行犯の一人が住んでいたとみられるアパートで捜索があり、12人が逮捕された。その後、55歳の男性が不起訴で釈放されている。

ロンドン橋の鉄道と地下鉄の駅は5日朝に利用が可能になった。鉄道を運営するナショナル・レールは予想よりも立ち入り禁止が早く解除されたと述べた。

ロンドン橋や近隣の道路も封鎖が解かれた。

警官8人が銃で実行犯に応戦し、50発が発砲され実行犯は射殺された。通行人1人が流れ弾を受けて負傷した。

一方、カナダのCTVテレビは、カナダ人女性のクリシー・アーチバルドさんが犠牲者の一人だと報じた。他の犠牲者の身元はまだ公表されていない。

アーチバルドさんの家族は文書で、アーチバルドさんが「すべての人が価値を認められ尊重されるべきだと強く信じていた」と述べ死を悼んだ。

文書によると、アーチバルドさんは婚約者が住む欧州に移住する前まで、ホームレス支援施設で働いていた。

「さまざまな負傷状態」

過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。

ロンドン警視庁のマーク・ロウリー警視監は、実行犯らを「ただちに阻止しなくてはならない」と認識した上で対応したと語った。

「警官が直面したのは危機的な、生死を分ける状況だった。武装した3人の男は自爆ベルトのようなものを身に着けていた」

自爆ベルトと思われた装備はその後、偽物だと判明した。

ロウリー警視監によると、現在36人が「さまざまな負傷状態」で入院しており、21人が重篤だという。

王立ロンドン病院のマリク・ラマダン医師は、頭を撃たれた男性が同医師の医療チームによって手当てを受け、快方に向かっていると話した。

刃物で刺され病院で手当てを受けているダニエル・オニールさん(23)の母親エリサべスさんは、オニールさんが約18センチの傷を負ったと語った。

エリサべスさんによると、「2件目のバーから出た時に男が彼の前に走り出て、『これは私の家族のため、イスラム教のためだ』と言って刃物で刺した」という。「まだ衝撃が収まっていません。こんなことが起きたなんて、信じられない」。

現場に居合わせ負傷した地元紙サンデー・エクスプレス紙のジェフ・ホー記者は、バー「サザーク・タバーン」の警備員を実行犯から守る手助けをしたと同紙に語った。武術の心得があるホー記者は、「僕がその場にいる限りは止めてみせる」と語った。

4日朝に家宅捜索を受けたアパートでは、制御爆発が行われた。

近所の住民によると、アパートには襲撃時に死亡した実行犯の一人が約3年間住んでいたという。結婚しており、子供も2人いたもようだ。

匿名希望の男性がBBCラジオのエイジャン・ネットワークに語ったところによると、実行犯の一人は過去2年の間に強い過激思想を抱くようになっていたという。

「とある攻撃事件をついて彼と話した時、大方の過激主義者と同じように、どんなことでも正当化する理由を持ち出した。なんでもかんでも」

「だからその日になって、通報しなきゃならないと気づいた」と男性は話したが、当局による対応はなかったという。

「自分のすべきことはした。(中略)でも当局はすべきことをしなかった」。

ロンドンでは過去3カ月で3回の攻撃が起きている。3月には、議会議事堂近くで男が乗用車と刃物で通行人らを襲い、警官を含む5人が殺害されている。先月22日には、マンチェスターのコンサート会場で起きた自爆攻撃で22人が死亡している。

英国では今月8日に総選挙が予定されているが、多くの政党が選挙運動を停止させている。しかし、テリーザ・メイ首相は5日に選挙運動を完全に再開させると述べた。

ロウリー警視監によると、歩行者をはねたルノー製の白いバンは実行犯が事件前にレンタカー会社から借り出していた。

事件では警官4人が負傷、うち二人が重傷を負った。アマチュアのラグビー選手で非番だった警官は実行犯の一人にタックルをかけた際に刃物で刺され負傷した。交通警察に入って2年足らずの別の警官は警棒のみで、武装した実行犯に立ち向かった。

ロンドン警視庁のクレシダ・ディック警視総監は、警官らの「たぐいまれな勇気」を称賛した。

3人の実行犯は全員、警察への通報後8分以内に射殺されている。

このほかの動き

  • メイ首相はロンドン南部のキングズ・コレッジ病院を訪れ一部の負傷者を見舞った。メイ氏の訪問は報道陣には公表されなかった
  • 6日午前11時(日本時間同午後7時)に事件の犠牲者や負傷者のため、1分間の黙とうが行われる
  • オーストラリアのジュリー・ビショップ外相は豪国民3人が事件に巻き込まれたと明らかにした
  • フランスのジャン=イブ・ル・ドリアン外相によると、フランス人一人が死亡し、7人が負傷、うち4人が重傷を負った。このほか行方不明者が一人いる
  • ロンドン警視庁は家族や友人の安否確認のためのホットラインを設置した。番号は0800-096-1233と020-7158-0197

ロンドンのサディク・カーン市長は、ロンドンが依然として「最も安全な世界的都市」だとし、テロの恐怖にとらわれることはないと述べた。

英国イスラム評議会のハルン・カーン事務局長は、あらゆる場所のイスラム教徒たちが「またもや同胞の英国人の人生を崩壊させた臆病者たちに対して激しい憤りと嫌悪を感じている」と語った。

警察は市民に対し、事件時の様子を撮影した写真や映像を求めており、インターネット上で情報提供を受け付けるサイトを開設した。

(英語記事 London attack: 12 arrested in Barking after van and knife attack

提供元:http://www.bbc.com/japanese/40155629

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