前向きに読み解く経済の裏側

2017年7月3日

»著者プロフィール
閉じる

塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

米国の株価が日本株にも影響

 景気の話とは直接関係ありませんが、日本の株価が米国の株価に大きく影響されることも、米国関連の経済ニュースが多い理由の一つです。株価は美人投票の世界なので、人々が「米国の株価が下がると日本の株価も下がる」と考えている以上、「米国の株価が下がっているから、日本の株価も下がるだろう。今のうちに売っておこう」という注文が増えて、実際に日本の株価も下がるのです。

 たとえば、米国には石油関係の巨大企業が数多くあるため、原油価格が下がると、米国の株価が下がります。そうなると、日本の株価も下がります。日本は原油をほぼ全量輸入しているので、原油安が株安になる理由は全くないのですが、美人投票の世界では、原油が下がると日本株も値下がりするのです。

中国の景気も日本に影響するが、限定的

 中国の景気が悪化しても、上記からわかるように、米国の中国からの輸入が減らなければ、日本の対中部品輸出、洋服製造機輸出などは減りません。日本から中国に部品を輸出して、中国で組み立てて日本に輸入している製品も多いため、そうした部品輸出も減りません。

 もちろん、中国人が使う日本製品については、中国人が不況で節約すると対日輸入が減りますから、日本にとってマイナスになる事は間違いありませんが、米国の不況と比べれば、影響は遥かに軽微です。

 中国が不況になって中国の中央銀行が利下げをしても、それによって人民元の対ドルレートが安くなったとしても、日本の貿易への影響はほとんどありません。これが米国の景気との決定的な違いです。

 今ひとつ、中国は大量の資源を輸入していますから、中国が不況になると世界の資源の需給関係が変化して、資源価格が値下がりします。これは、同じく資源を大量に輸入している日本にとっては、景気にプラスに働く要因です。中国の景気悪化は、日本にとってマイナスなことばかりではないのです。

欧州との貿易関係は希薄

 欧州は、経済規模は大きいのですが、日本との貿易はそれほど多くありません。一つには距離が遠いことですし、日米関係と比べて政治的にも歴史的にもそれほど親しいわけではありません。今ひとつは、日本と欧州は、得意分野が似ているため、貿易するインセンティブが小さいのです。たとえば日本とドイツは自動車が得意ですから、お互いに貿易をしなくても良いのです。そうしたことから、欧州の景気は、あまり日本の景気に影響しないので、米国の景気と比べると、遥かに注目度が小さくなっているわけです。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る