韓国の「読み方」

2017年6月12日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、前ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15年5月から論説委員。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著『LIVE講義 北朝鮮入門』(10年、東洋経済新報社)を大幅に改訂した『新版 北朝鮮入門』(東洋経済新報社)を17年1月に刊行予定。

 韓国の文在寅大統領が6月10日で就任1カ月となった。韓国ギャラップ社が9日に発表した世論調査の支持率は82%に達した。就任後初の調査だった前週は84%だった。1987年の民主化以降に就任した歴代大統領の就任直後の支持率は、金泳三、金大中両氏の71%が最高だったので、文氏の支持率は頭一つ抜けている。

青瓦台へパレードする文在寅大統領(写真:アフロ)

 好感を呼んでいるのが「脱権威主義」という姿勢である。民主化されて以降も、韓国の大統領は権威主義的な存在であり続けてきたし、朴槿恵前大統領の権威主義的な傾向はその中でも際立っていたからだ。

 同社の調査は支持理由を自由回答で聞いている。最も多かったのが「コミュニケーションをよく取っている。国民(の思い)に共感しようとする努力」の19%で断トツだった。別項目として集計されている「権威主義的でない。気さくだ」も5%あった。どちらも、朴氏とは対照的な親しみやすさへの共感だと言えるだろう。

 順調な滑り出しではあるが、親しみやすさというのはイメージの話である。現実を見ると、内外ともに地雷を抱えていることは否定しがたい。対外的には在韓米軍への終末高高度防衛(THAAD=サード)ミサイル配備を巡る米国との温度差という難題を抱え、国内では閣僚人事が停滞し、与野党対立が激化する兆しを見せる。内政問題も重要なのだが、今回はまず対外的な課題について考えてみたい。

同盟派路線で始まった対外政策

 日本では文在寅政権について「反日反米親北」などという短絡的なイメージで語る人もいるが、一国の政権をそれほど単純に色分けできないことは当然である。選挙前から文氏を支えてきたブレーンも、さまざまなグループに分けられた。

 対外政策で言えば、米韓同盟を重視する専門家グループ(同盟派)と民族主義的志向の強い運動家グループ(自主派)に大別できる。同盟派は理想を抱きつつも、現実的なアプローチの必要性を重視する。一方で自主派は現実の制約を認めつつも、理想論に走りがちな傾向が強い。保守に対抗する進歩(革新)としての理想は共有するものの、方法論には違いがあるということだ。

 ただ、実際に政権を取ったら現実的なアプローチを取らざるをえない。文在寅政権の対外政策も同盟派路線が比較的、前面に出ている印象だ。国際情勢を無視して自分たちの思い通りの対外政策を展開できる国など存在しないのだから当然ではある。しかし、自主派の影響力が皆無になるというわけでもなく、むしろ自主派の巻き返しが起きる可能性もある。そうなると日米との関係は、ぎくしゃくしてしまうことになるだろう。

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