WEDGE REPORT

2017年6月14日

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独自教材に個別授業
ノウハウ積む教育現場

 1980年代から中国残留邦人を受け入れてきた堺には、中国にルーツを持つ住民も多く暮らす。若松台小学校の清水隆史校長は、「今年も日本語を全く話すことができない2人が入学しました。保護者も一切話せません」と中国語で書かれた「入学のしおり」を見せてくれた。全校生徒の1割強が外国人であるため、毎月発行する学年便りも中国語版を作成し、運動会の放送も2カ国語で流している。

習熟が遅れた外国人生徒には、「日本語教室」で専属の教師が個別授業を行う

 古くから多くの外国人が定住する堺には、教育ノウハウが蓄積されている。小学校では日本語教育に独自の教材を使っている。また、「日常会話ができるようになっても学習言語の理解が遅れがちになる」(清水校長)ため、算数、国語、社会の時間になると、各クラスから生徒を「日本語教室」に集め、専属の教師1人が順番に教えて回っている。

 さらに生徒の母国語を話せる日本語指導員を年間60日、2時間ずつ派遣し、生徒の学習・生活面の支援のほか、保護者面談の通訳まで行っている。

 しかし、年々増える外国人と多国籍化により、従来のノウハウだけでは対応しきれなくなっている。例えば、来日1年未満で日常会話もできない26人の生徒が「日本語教室」のない14校に在籍している。国は専属の教師を外国人児童18人につき1人の割合で定数化しているが、生徒が分散してしまうと手当てできない。

 「日本語を話せない生徒だけでも一定期間まとめて教育してもらえると助かる」と現場からは声が上がるが、「小学生が校区を越えて登校するのは現実的ではない」(市教育委員会)と、解決策は見いだせない。

 また、日本語指導員も「ベトナム語、ウルドゥー語、アラビア語など言語が多様化しており、なかなか人材を確保できない」(市教育委員会)という。

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