2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月20日

 サウジ=イラン関係に大きな影響を与えうる最近の出来事は、一つはトランプ大統領のサウジ訪問であり、もう一つはイランの大統領選挙でした。

反イランの立場を鮮明に

 トランプはサウジ訪問中、反イランの立場を鮮明にしました。サウジはじめ集まった湾岸のスンニ諸国と協力して、イランを孤立させると述べました。トランプは以前よりイランに批判的でしたが、サウジ訪問中にこのように明言したことを、サウジは喜んだに違いありません。しかし、具体的にどのようにしてイランを孤立させるかについては触れていません。今後トランプ政権がどのようなイラン政策を展開していくか、サウジがどのようにイランに対処していくか、見守る必要があります。

 イランの大統領選挙では、ロウハニ大統領が57%、保守強硬派のライシが38.5%を獲得しました。ハースは保守指導者が40%の支持を受けたと言い、保守勢力が根強いことを示唆していますが、ロウハニが57%もの得票を得たことは、より穏健な国内政策と西側との関与を希望する意見が、若者を中心に根強いことを示しています。ただしこれでイランの政策が一挙に穏健化するとは考えられません。特にイラク、シリア、レバノンに対するイランの政策は変わらないでしょう。その意味でイランの大統領選挙は、イランのサウジとの関係に変化をもたらす要因にはなりません。

 サウジとイランの関係は地域の主導権を争う関係です。中東の大国間の関係であると同時に、スンニ派とシーア派の争いです。国家間の関係に宗派の争いが絡まると対立は根深くなります。サウジ、イラン両国が直接衝突することは予想されませんが、何らかのきっかけで対立が激しくなる可能性は否定できません。

  
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