2024年4月19日(金)

Wedge REPORT

2017年6月23日

人材を流動化させるため「垣根」を低くする

 経営者競争から脱落しても、エキスパートとして能力を十分発揮する人は多い。また競争で鍛えられているから転職すれば、今以上に活躍できる場所はいくらでもある。人が流動化しやすいように、「垣根」は低く設定しておいた方がよいだろう。つまり、能力に応じて賃金で大幅な差をつけ、中途採用であっても公平に処遇することだ。その代わり、成果を出さないと収入も下がる。

 そもそも会社は定員制だ。毎年新たに何人か入ってくるのであれば、その分、人を外に出す仕組みを上手に作らないといけない。プロスポーツの世界なら当たり前のことが、日本企業ではいまだに受け入れられない。今の労働法制は、一人の雇用を守ろうとしているが、それが企業の負担となり、大量のリストラにつながるという本末転倒の結果を招くリスクを孕(はら)んでいる。

 グローバル化、IT化によって「ゲームのルール」は大きく変わり、その勢いは増すばかりだ。企業もいい加減に時代遅れの人事制度や悪しき労働慣行を改めないと、企業がダメになり、ひいては国が沈んでしまう。

 私は政治家でもないから、知ったこっちゃないが、自分の国がそんな惨めな姿になるのは見たくない。だからせめて今の会社をもっと強くしようと、毎月全国の職場を巡りながら社員に説いて回っている。「正しいことを正しく」、「勉強しろよ」と。

聞き手・構成/Wedge編集部 塩川慎也

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  ・坂本幸雄(元エルピーダメモリ社長)「国家的損失生む大企業の人事制度 今こそ40歳代定年制を検討せよ」
  ・ 松本 晃(カルビー会長兼CEO)「トップが既得権を捨てないと次の経営者は育たない」
  ・ 熊谷昭彦(GEジャパン社長兼CEO)「GEがグーグルに抱く危機感 人事改革で新ビジネスに挑む」

 

  
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