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2017年6月30日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 業界玉突き人事、ではあるまいが、意外なところで意外な人の名前が取りざたされている。フォード・モーターズCEOを事実上クビとなったマーク・フィールズ氏である。なんと現在ウーバーの新CEO候補として名前が挙がっている、というのだ。

(David Ramos/Getty Images)

 フィールズ氏は2014年にフォードCEOに就任したが、前任者であるアラン・ムラーリー氏と比べて評価は低かった。1989年にフォードに入社、若くしてアルゼンチン、日本などのオペレーションを担当したエリートではあるが、CEO就任以来フォード株価は下がる一方で、今年ついに企業としての総資産評価がテスラに抜かれた、と話題になった。

 フォードの新CEOに就任したのは、フォードの子会社で自動運転部門であるフォード・スマート・モビリティCEOだったジム・ハケット氏。この交代を強く望んだのはフォード創業者一族で会長でもあるビル・フォード氏、と言われる。世の自動車業界がこぞって自動運転、ライドシェア、EVに流れる中で「より迅速な企業文化の変化、再活力化を行える人物」としてハケット氏が浮上した。

 実際ハケット氏は「これからの自動車産業はシリコンバレーのIT企業をお手本とした新しい発想、ユーザーへの新しい『経験』の提供が必要」と語るなど、未来を見据えた改革発言を行なっている。

 しかし、ライドシェアサービス大手ウーバーでCEO、トラビス・カラニック氏の解任、というビッグニュースが発生し、フォードを去ったフィールズ氏に大きなチャンスが巡ってきた。

 今年に入り数々のスキャンダル、そして現在もグーグルの自動運転部門であるウェイモとの裁判が継続中、とまさに会社がガタガタ状態のウーバーにとって、精力的に発展してきた過去と決別し、安定企業としての存続が何よりも優先事項になっている。そのためにもビッグネームCEOを据えて会社の規律を強めることが先決だ。

 ウーバーは今年8月中旬ごろをめどに新CEOを立てる予定だが、フィールズ氏がフォードを去ったのは絶妙のタイミングとも言える。まだ上場していないウーバーではあるが会社資産総額は500億ドルとも言われ、フィールズ氏にとっても手腕を発揮するのに十分な場所でもある。

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