したたか者の流儀

2017年6月30日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

 焼き菓子を配るのを止めた大手総合商社「双日」の株主総会の参加者が9割減だったそうだ。今年の総会は、お土産廃止ムードが漂い、現在のところ、ものもらい資本主義がまだ主流の日本では、個人投資家のがっかり感が強い。総会手土産が廃止されたので個人株主の存在感がまた減少したようだ。以前は全株主のおよそ20%でほぼ正解であったが、2割といえない水準になっているようだ。

(iStock)

 一義的には、持ち合い解消の受け皿、コントロールの出来ない外人株主に対する抑止力として個人株主は歓迎されている。東証資料によると、戦後、取引所再開直後の個人株主数(延べ人数)500万人から高度成長期にも超えられなかった2000万人の壁をバブル崩壊時に達成したあとは、現在まで斬増して延べ株主数は5000万人いるようだ。

 NTT民営化、JR民営化、最近では日本郵政グループ3社の上場などで、節々の障害を取り除きながら、証券民主化が達成しているかのようにも見える。

 少額非課税制度(NISA)の開始などを契機に拡大している。昨今の個人株主数急拡大の要因は、一昨年の郵政で150万人弱、トヨタの種類株発行で20万人弱、メガバンク株はNISAでの人気銘柄として選好されている。1000株から100株への単元株数の変更も大きなインパクトとなった。当然旧来ある主力銘柄の公募増資も株主数の増加に寄与している。

 さらに上場企業の支払い配当額も企業収益の向上から拡大しており、大台の10兆円を軽く超えた。時価総額の2割弱が個人株主の保有とすれば、2兆円が家計に支払われたことになる。しかし、個人投資家の存在感は小さい。売買においても保有においても、心配な2割打者であろう。

 逆に外人投資家は売買において特に存在感は大きく、保有においても主体別で最大となっている。とりわけ、ハイテクを用いたHFT(高速トレード)での市場シェアは目を見張る物がある。7割は超えているだろうか。

 そんな中、個人投資家の役割拡大を意識したトヨタ自動車の種類株発行に見られるように、外人投資家牽制の意味合いも含めて力を入れているものもないことはない。

 一方バブル期の終わりには、金融グループ内の保険会社が保有する株式を含めた持ち合いは、50%を超えていた。市場の流通株が極端に少ない中、日本株は上昇を続けたことになる。当時狭義の持ち合いも35%程度と世界でも類を見ない状況にあった。

 株式持ち合いは、戦後の財閥解体時、また1960年代の資本自由化の流れのなかで、外国企業による乗っ取り対策で始まったと考えてよいと思う。

 90年代には持ち合い比率は急激に低下したが、この10年は傾向の変化は見られない。とはいえ、2015年6月に始まった上場企業へのコーポレートガバナンスコードの適用において、上場株式への政策投資への疑問が投げかけられている。

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