世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年7月3日

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 米外交評議会(CFR)のスナイダー上席研究員と米Pacific Forum CSISエグゼクティブディレクターが、CFRの6月2日付けブログで、日韓関係の韓国にとっての重要性を強調しつつ、進歩派の文大統領と保守派の安倍総理こそが両国の和解を築くために最適な指導者だと述べています。要旨は次の通りです。

(iStock)

 文在寅にとっての一つの重要課題は対日関係である。安倍総理との電話会談で文在寅は慰安婦合意につき韓国国民にとりそれをそのまま受け入れることは感情的にできないと述べた。同時に、この問題とは切り離して、両国関係を推進したいことも述べた。この「ツー・トラック」アプローチにより朴槿恵が陥った自縛を避けることができるだろう。日韓関係の強化が韓国に重要な利益をもたらし、韓国が直面する地政学的な課題への対処に当たっても助けになる。 はっきりしない態度を取っていた朴槿恵も、慰安婦合意を決断し、日韓防衛情報保護取決めを締結し、両国関係を立て直そうとした。米国の主導により日米韓三国は対北朝鮮協力の強化に動いてきた。しかし、文在寅は選挙戦の中で、慰安婦合意の再交渉を主張してきた。朴槿恵と誠実に交渉してきた日本との関係を難しくさせかねない。

 文在寅の最大の安保課題は北朝鮮であるが、そのためには中国と米国の支持が必要となる。しかし、対中関係はTHAAD問題で緊張している。中国は、韓国との文化交流の中止、中国人の韓国観光の規制、中国にあるロッテ店舗の9割閉鎖などの対抗措置を取っている。

 米国との安全保障関係なしでは、中国は韓国を真剣に取り扱わない。北は最終的に米国と取引をしたいと考えている。文在寅は、米朝の「頭越し交渉」を防ぐためにも米国との良好な関係を必要としている。

 日本との強力な関係は韓国の中国に対する立場を強くする。対日関係の安定化は韓国の利益に影響する形の日中接近を防ぐことにもなる。

 文在寅は未来志向の日韓関係を築くとの個人的な確約から始めるべきだろう。安倍はこれに応え中国から受けている経済打撃を緩和するために適切な形で支援を差し伸べるべきである。金融スワップ復活が望ましい。

 日本は慰安婦合意の再交渉には抵抗するだろうが、韓国の国民感情が両国関係を制約することは否定できない。双方が一層の努力をすべきだ。安倍は韓国国民の支持を得るべく一層努力をすべきである。

 多くの意味で文在寅は日韓和解に最も適した人物だ。両国関係の緊張は日本の右と韓国の左が作り出している。進歩派の文在寅と保守派の安倍こそが両国の意味ある和解を築くのに最適の指導者だ。今こそそれに乗り出すべきだ。

出典:Scott A. Snyder & Brad Glosserman,‘Prospects for Japan-South Korea Cooperation Under Moon Jae-in’(Council on Foreign Relations, June 2, 2017)
https://www.cfr.org/blog-post/prospects-japan-south-korea-cooperation-under-moon-jae

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