私は今ウルグアイとブラジルの国境の町で、コメ作りと精米、そしてそのコメの輸出を仕事としています。

 ウルグアイのコメ料理はもちろん「長粒種を使った……」と、紹介したいところですが、ウルグアイのコメ消費は非常に少なく、統計によれば国民一人あたりの年間白米消費量は、6キロにすぎません。その代り牛肉は一人あたり60キロと世界一の年間消費量です。白米ベースで100万トン以上を毎年生産していますが、人口350万人で年間の国内消費は2万トン程度です。

 スーパーでは1キロ入りの白米がたくさん売られています。ウルグアイでコメをスーパーで購入するのは、ヨーロッパからの移民を先祖に持つ人々がほとんどです。白米だけではなく玄米・香り米なども並んでおり、日本のスーパーのコメ売り場とは違った雰囲気が感じられます。

 その中にごくわずか短粒種白米と玄米が並んでいます。短粒種のブランド米は2つあります。1つはウルグアイで30年ほど前から日本品種を生産して、ウルグアイとブラジルで販売している農場のオリジナルブランドです。もう一つは、数年前から短粒種の生産と販売を始めたウルグアイ最大規模の精米業者で、ウルグアイの生産量の約半分を精米し輸出している会社のブランドです。

富裕層の間で人気の短粒種

 最近は、高級住宅街のスーパーの短粒種売り場近くでは、巻き寿司や握り寿司の作り方を説明した写真入りチラシを置いたり、出来上がった寿司をパック入りで販売したりもしています。価格は一般長粒種とは倍程度の価格差で販売され、寿司用短粒種と表示されたブランド米は、高付加価値米として販売されています。

 世界の町で必ずと言っていいほどあるのが中華料理レストランですが、首都モンテビデオには中華料理店は数軒のみです。しかし、最近日本料理である「握り寿司」を提供する店が増えて、中華料理店の数を上回っているという、世界にも例の少ない国とも言えます。

ウルグアイの首都モンテビデオ (AFLO)

 私が何度か入った中華料理店では、コメはウルグアイ産の長粒種で、当然のことながらチャーハンや白米でコメを食べさせてくれます。日本食レストランではもちろん寿司が目玉となります。

 最近のトレンドとして客単価の高い高級そうなレストランが、寿司ネタケースを置き、握り寿司を提供しているところもあります。ネタはチリのサーモンやヒラメ、マグロは大変美味しいと評価の高いエクアドル産(ほとんど冷凍ですが)。コメはウルグアイ産短粒種です。ウルグアイでの日本食提供は、始まったばかりですので寿司職人さんの技術の向上に期待したいと強く感じています。

 生産量の約98%は輸出をしている国です。この国に伝統的なコメ料理は見当たらず、見かけるのは町にあるイタリア料理レストランのリゾットであり、スペインなど地中海コメ料理の代表であるパエリアだったりします。スペインの植民地時代、ヨーロッパからの移民が入り、その文化と料理を持ち込んだことが起源だと思います。コメ料理のレパートリーの一つとして寿司も受け入れられ始めているようです。

  
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◆Wedge2015年1月号より