シリア北部の反政府勢力が支配する要衝アレッポで戦闘が激化するなか、最大7万人の難民がトルコ国境を目指して北に移動し、国境検問所の周りに集まっている。政府関係者や人道支援団体などが明らかにした。

シリア国営テレビは5日、政府軍がアレッポ北のラティヤンを掌握したと伝えた。

これに先立ちトルコのダウトオール首相は4日、最大7万人がトルコ国境を目指していると述べた。一方、人権団体は難民の数を4万人としており、5日の時点では少なくとも2万人がトルコ国境で足止めされている。トルコ政府は難民を支援する用意はあると表明しているが、国境は閉ざしている。

トルコのダウトオール首相はテレビ演説で、トルコは難民を「食べ物や宿泊場所のないまま」放っておくことはしないと述べたものの、入国を認めるかは明言しなかった。

ロシアによる激しい空爆がシリア政府軍のアレッポへの進攻を助けている。その一方でロシアは、トルコがシリア侵略を準備していると非難している。

4日には、サウジアラビア軍報道官が、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討のために地上軍をシリアに派遣する用意があると表明した。

サウジアラビアのアハマド・ビン=ハサン・アルアシリ准将はAP通信に対し、地上軍派遣を含む決定はすべて、米国主導の有志連合が来月ブリュッセルで開く会合で承認を受けなければならないと語った。

「戦争犯罪」

シリア内戦の被害者支援のためロンドンで4日に支援国会議が始まった。参加したトルコのダウトオール首相は、「アレッポに対する空爆や攻撃で、いまや1万人の難民が(シリア国境に近い)キリスに入ろうとしている」と述べた。

また、「アレッポ北部にキャンプにいた」6~7万人が「トルコに向かっている」と述べた。

首相はさらに、ロシアのシリア介入を非難し、ロシア、シリア両政府が戦争犯罪を行っていると語った。

ただ、ロシア、シリアともトルコの主張を否定している。

BBCのアラン・ジョンストン記者は、ロシアが盟友のアサド政権を軍事支援していることに、トルコは明らかに立腹していると指摘する。

ロシア国防省は、2月1日以降で「アレッポ、ラタキア、ホムス、ハマ、デリゾール各県のテロリスト標的」875カ所を攻撃したと明らかにした。

報道によると、シリア政府軍はこれらのロシア空軍による支援を受けて、反政府勢力が使うトルコ国境からの主な物資供給ルートを遮断した。

シリア政府は、アレッポの近くで反政府勢力が立てこもり支配していたヌブルとザハラについて、籠城を突破したと明らかにしている。

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、シリアへの「軍事侵略の準備をトルコが急速に整えていることを疑う十分な証拠がある」と述べた。さらに、トルコがシリアを空爆する「映像による動かぬ証拠」を提示していると語った。

トルコ政府はこれに反応していない。

昨年11月にロシア空軍機がトルコ軍によって撃墜されたことを受けて両国関係の緊張は高まっている。

トルコ政府はロシア軍機がトルコの領空を侵犯したと主張。一方のロシアは、軍機はシリアの上空で撃墜されたとしている。

5年近く続くシリア内戦で25万人以上が命を落としている。このほか1100万人が住む場所を追われている。

このほか、シリア内戦をめぐり以下の動きがあった。

・英国に拠点を置く「シリア人権監視団」によると、ロシアのアレッポ空爆で民間人21人が死亡。ただしBBCの取材では確認できていない。

・援助団体「マーシー・コープ」の広報担当者デイビッド・エバンズ氏は、アレッポに援助物資を運ぶルートが遮断されたと述べ、「アレッポの包囲がもうすぐ始まりそうだ」と語った。

・ロンドンで4日開かれたシリアへの人道支援を話し合う国際会合で、欧州連合(EU)は33億ドル(約4300億円)以上の拠出を約束。ドイツは26億ドル、英国は17億ドル、米国は9億2500万ドルを約束。

・しかし、ジュネーブでのシリア和平協議は一時中断されている。

(英語記事 Syria civil war: Up to 70,000 refugees head to Turkey, says PM)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/35499368