Wedge REPORT

2012年1月10日

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薬局で簡単に原料を購入できるのが問題だ。

 有効な対策となり得ると見られているのが、クロコダイルの主な原料となる咳止め薬の入手に規制をかけることだ。危機感を強める連邦麻薬流通取締局は、早くから処方箋なしでは購入できないようにする措置の導入を日本の厚生労働省に相当する保健・社会発展省に求めてきた。

 しかし、ドイツの「シュピーゲル」誌ロシア語版サイトの記事(昨年7月9日付)などによると、これには国内製薬メーカー各社が強く抵抗。製薬業界のロビー活動によって、当初は昨年の中頃にも予定されていた規制措置の導入を開始する時期が延期されてしまったのだという。咳止め薬の販売への規制は、ようやく今年6月1日から実施される。それまでの間に、いったいどれだけの若者がこの麻薬を新たに始めてしまうのかと考えると、やりきれない。

 しかも、規制が始まったとしても、どれだけ厳格に適用されるのか懐疑的な見方をする報道も少なくない。コデインを含んだ咳止め薬は、ロシア全土で数千万人が使用していると言われ、この薬の販売に規制がかかるとあれば、製薬メーカーだけでなく薬局にとっても売上に大きな影響が出るのは必至だからだ。「薬局が闇販売に走った場合にどうやって取り締まるのか」といった議論までされている。

取り残された地方の若者たち

 ロシアは石油や天然ガスなどの地下資源大国として、中国やインド、ブラジルと並ぶ新興国のひとつに数えられる。しかし、その資源輸出の果実は、モスクワやサンクトペテルブルグの一部の富裕層が得ただけで、地方の貧しい若者たちのあいだでは、絶望的なまでに危険な麻薬が広がり続ける。今年3月に行われる大統領選挙では、ロシアの深刻な格差問題が問われることはあるのだろうか。

クロコダイルの概略的な説明は、ロシアの通信社「ノーボスチ」の以下のページにも(ただしロシア語)。
http://ria.ru//spravka/20100422/225546191-print.html

ロシア連邦麻薬流通取締局が作成したクロコダイルの恐ろしさを訴える動画や取締りの様子を撮影した動画が閲覧できる(こちらもロシア語)。こちらも非常に残酷な映像を含みます。十分に注意の上、閲覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=W_rDtIfEcYA&list=UU7Px3zmcgz3tv-LYmM8Nqcg&index=9&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=HwTM5Jk3LAs&list=UU7Px3zmcgz3tv-LYmM8Nqcg&index=10&feature=plcp
http://www.youtube.com/watch?v=btxMEM1Hexo&list=UU7Px3zmcgz3tv-LYmM8Nqcg&index=35&feature=plcp


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