BBC News

2019年9月18日

»著者プロフィール

マイク・ヘンソン、BBCスポーツ

世界最高レベルのラグビー選手たちの多くにとって、日本でプレーするのは、今回のワールドカップ(W杯)が初めてとなる。

だが、懐かしい場所に戻って来るという選手もいる。

元オーストラリア代表のウイング、ニック・カミンズ氏は、日本国内でプレー経験のある数少ないスーパースターの1人だ。

猛烈なディフェンスぶりに敬意を込め、「ラーテル」(気性の荒いイタチ科の動物、Honey Badger)のあだ名をもつカミンズ氏は、豪代表として15回プレーし、7人制ラグビーの代表選手にもなった。その後、2014~2016年に福岡のコカ・コーラ・レッドスパークスでプレーした。

引退後は本を執筆し、テレビに出演し、世界を巡った。

ラグビーの大イベントが開かれる東の国のスポーツ、文化、社会、そして食べ物を紹介してもらうなら、カミンズ氏をおいて適任者はいないだろう。

独特の「木こり」タックル

「日本の選手はそれほど体が大きくないので(タックルされても)衝撃は強くないが、足をもぎ取られる感じだ」

「相手がどれだけ大男だろうが関係ない。膝に突っ込んできて体を揺らしてくる」

「みんな本当に勇気があって、戦士のように試合に臨む」

「レベルも常に上がっている。私がプレーした1年目から2年目の間だけでも、大きく飛躍した」

「動きが速いし、ボール回しもすごく素早い。追いつくのが大変だ。対戦するときは、試合をコントロールし、スピードを落とし、シンプルな試合にすることが大事だ。そうすれば主導権を握れる」

「1年を通し、気候の変化も負担になる。夏はものすごく暑いと思えば、冬には雪が降る」

「W杯期間中は蒸し暑いだろう。ただ、オーストラリア人にとっては、母国の天気よりはましだろう」

スーパースターとして

「(2014年に日本のチームへの移籍で)初めて福岡に飛行機で降り立ったときには、『しまった、これはまずいぞ』という気持ちだった」

「工業団地のようなところに連れて行かれて、それしかないのかと思ったら、そこはごく一部だった」

「すごかった。素晴らしい経験だった」

「みんなすごく親切で、世話好きで、歓迎してくれた」

「競技場では、私と話をして写真を撮ろうと大勢が近寄って来てくれた。でも試合を離れれば、それほどでもなかった」

「公衆の場所でも、自撮り写真に一緒に写ってほしいと言ってくる人はかなり少なかった。いやな言い方はしたくないけど、自分の時間がほしかったので、ありがたかった」

「日本語が分からなくても、私のように少ししか覚えなくても、やっていける」

「身振り手振りで何とかなった。本当に何かが必要なときには、相手がすぐ察してくれる」

酒場で痛飲

「日本の特徴は、酒場ではまったりしないことだ」

「真夜中にはみんな、べろべろに出来上がる。そうやって素早く絆を深めることができる」

「サラリーマンだろうがラグビー選手だろうが、一緒に何杯かやりたがる。そうすれば、どんな人か、相手のことがかなり見えてくるからだ」

「ビールをがぶ飲みしてから、ロケット燃料みたいな日本酒に進む」

「ある日、家への帰り道、道路のわきで気絶しているやつがいた」

「雪が降っていたけど、その夜はかなり羽目を外したんだろう」

「そんな状況では、あまりの寒さに仮死状態で目が覚めて、1日が台無しになる」

「そんな目に遭わせたくなかったから、自分の家に連れて行った。日本人とは、そういう人たちなので。なんで自分も人助けをして、恩返しをしようと思った」

「彼は上司に感心してもらいたくて、調子に乗り過ぎたようだった。でも、誰だっていつか来た道だ。自分も批判できる立場にない」

口に入れる前によく調べよ

「うーん、日本の食べ物はすごい。びっくりだ」

「焼肉(yakiniku)は、テーブルに備え付けられた小さなグリルをチームメイトと囲み、肉を注文して目の前で焼く」

「焼き鳥(yakitori)は、鶏肉の串刺しだ。アンガス牛も他のもろもろも、全部ある」

「でも注意が必要だ」

「ある日、チームで大きな食事会があった。日本ではよく、小さなカップと皿とボウルをテーブルの上に用意する」

「私は8人きょうだいの1人として育ったから、皿にできる限りの食べ物を載せ、急いで食べるのに慣れていた」

「でも、あまりにたくさんの種類があったから、混乱してしまった」

「ボウルの1つにはハイビスカスの花が入っていた。私はテーブルの上にあるものは全部、食べ物だと思っていた」

「それで、ハイビスカスをかじっていたら、植物の液が口の中で燃え出した。すると、店の日本人オーナーが『ノー! ノー! ノー!』と叫びながら、あわててやって来た」

「私はパニック状態で、毒で死ぬんじゃないかと思った。でも大丈夫だった」

タトゥーは隠せ

「その場に行って文化を体験するということだ」

「私は、大男が真っ向からぶつかる相撲を見るのが大好きだった」

「適当なことを言って報道関係者席で見ていたら、もう少しで力士につぶされそうになった」

「勝った力士は栄誉と現金の入った包みの束を持ち帰るけど、おそらく半分は食費になるだろう!」

「チームメイトは温泉にも連れて行ってくれた。男性と女性がまとまって、それぞれ別の浴槽に入る場所だ」

「王様のように入って行って歩き回ることができる。全く初めての経験だろうが、裸でいるのが気にならないなら、絶対にやる価値はある」

「ただ、日本人はあまりタトゥーを歓迎しない。日本では一部の犯罪集団といえば入れ墨なので。だから日本人には印象が悪いし、印象が悪いものには近づきたがらない」

「チューブ・グリップを知っているだろうか? けがをしたときに使う、肌の色に近い、あのピンクの保護チューブだ。選手の多くは、タトゥーをそれで覆うかシャツを着て、見えないようにしていた」

一緒に変な人になる

「日本ではとても変わったファッションがはやっているが、それも試してみることをおすすめする」

「何かを見かけて、変だなあと思うより、それを買って、着て、みんなと一緒に奇妙な人になることだ!」

「子猫の絵が描かれたハローキティの服を着ている人がたくさんいる。チームメイトにもハローキティの下着を着ていたやつがいた。日本では本当に人気なんだ」

「食材の買い物が面白かった。袋を見ただけでは何が入っているかわからないし、どれだけ栄養があるかもわからない。直感を頼りにする」

「ただ、洗顔剤や保湿剤を買うときは気をつけたほうがいい。漂白剤が少し入っているかもしれないからだ。せっかくの日焼けがすぐに消えてしまうことになる」

(英語記事 What's it like to play rugby in Japan?

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49738506

関連記事

新着記事

»もっと見る