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2019年10月10日

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ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は9日、1次リーグD組で2連勝のウェールズ(世界2位)と1勝2敗のフィジー(同11位)が大分スポーツ公園総合競技場で対戦、ウェールズが後半の連続トライで突き放し、29-17で勝って決勝トーナメント進出を決めた。

フィジーは1次リーグ敗退が決まった。

前半8分までに0-10とリードされたウェールズは、WTBジョシュ・アダムスのハットトリックで主導権を取り戻し、FBリアム・ウィリアムズのトライでボーナス点も獲得した。

フィジーはブロークンプレー(キック捕球やターンオーバー直後などの崩れた局面)で7人制のオリンピック金メダリストらしいパスとランプレーを発揮。さらにWTBジョシュア・トゥイソバらのパワフルな突進で、今年のシックス・ネイションズ(欧州6カ国対抗戦)優勝のウェールズを苦しめた。

後半13分に再度17-14と先行したが、細かいプレーの精度を欠き、番狂わせはならなかった。

兄弟で先発

両チームそれぞれ2選手がイエローカードを出され、テレビジョンマッチオフィシャル(TMO)のビデオ判定の結果、両チーム合わせて5つのトライが認められないという荒れた展開になった。

ウェールズはフランカーのジェイムズとCTBジョナサンのデイヴィス兄弟がそろって先発。ウェールズで兄弟が同時にW杯の試合に出場するのは、1987年大会のポールとリチャードのモリアティー兄弟、1999年のスコットとクレイグのクイネル兄弟に続いて3組目。

残念ながら家族の絆による以心伝心は働かず、開始直後、ジェイムズが兄のキックを追った際の反則で、フィジーはウェールズ陣で5メートルスクラムを得た。

フィジーはこのスクラムから、トゥイソバが前半3分にトライを先取。狭い右サイドでSHフランク・ロマニから直接ボールを受けたトゥイソバは、マークのアダムスのタックルを弾き飛ばし、インゴールに持ち込んだ。


フィジーが10点差つける

直後にウェールズのFLジョシュ・ナヴィディがインゴールにボールを持ち込んだかに思われたが、TMOの結果、その前にノックオンがあったため認められなかった。前半7分に今度はフィジーのロマニがインゴールに駆け込んだが、TMOでラストパスがスローフォワードとされ、こちらもトライは幻と消えた。

その1分後、フィジーは左サイドのラインアウトからの連続攻撃で右オープンに展開、ライン参加した左WTBセミ・ラドラドラから長いパスを受けたFBキニ・ムリムリバルが、ディフェンスを突き破ってトライした。

フィジーは2トライともコンバージョンキックが決まらなかったが、10−0とウェールズをリードした。


ウェールズが反撃

前半17分、ウェールズの反撃が始まった。フィジーゴール前でSOダン・ビガーが右足で左オープンに蹴ったピンポイントのキックパスを、ジャンプしたアダムスが相手選手に競り勝って捕球してトライ。ビガーが左サイドからのコンバージョンゴールを決め、7-10と追い上げた。

アダムスは前半26分にも左コーナーに飛び込んだが、TMOでその前にタッチラインを踏んでいたとして認められず。しかし4分後、ウェールズはゴール目前のスクラムから左オープンに回し、アダムスが今度は文句なしにこの試合2トライ目を挙げて逆転した。

さらに、ビガーがタッチライン際からの難しいコンバージョンゴールを決めて14-10と差を広げた。

後半もフィジー先取

後半も先に得点を挙げたのはフィジーだった。この試合3回目のTMOでまたもトライを逃した後の13分、ラインアウトからのモールを押し込むと、ウェールズがこれを崩して得点機を妨害したという判定で、フィジーにペナルティートライが与えられた。

ウェールズにとって、悪い流れはさらに続く。フィジーの蹴ったハイパントを捕球しようとしたリアム・ウィリアムズとビガーが衝突。ビガーが倒れ込んだため、レフェリーが即座に試合を止めたほどだった。

ビガーは最終的には自分の足で走って退場できたが、代わってリース・パッチェルが出場。パッチェルは17分にPGを決めて、ウェールズが17-17と同点に追いついた。

ボーナスポイント獲得

その3分後、デイヴィスがハンドオフで突破して外のアダムスに左手のオフロードでつなぐと、アダムスが左隅に飛び込んで3トライ目。これでウェールズが勝ち越した。このトライの際にデイヴィスが負傷して交代。アダムスも脚を痛めて8分後に交代した。

後半28分、ブロークンプレーからSHギャレス・デイヴィスが抜け出し、リアム・ウィリアムズが決定的な4トライ目を挙げた(パッチェルがゴール成功)。

残り10分間、フィジーは反撃を試みたが、ミスもあって得点はならなかった。ノーサイドの笛が吹かれても、キャプテンのアルンウィン・ジョウンズらウェールズの選手に笑顔はなく、多くの負傷者を出した厳しい戦いだったことを物語っていた。

「タフな試合だった」

フィジーはボールの保持率、地域の獲得率ともに約6対4で優位に立ち、ボールを持って前進した距離も441メートルと、ウェールズの398メートルを上回った。相手のディフェンスを外した回数も31とウェールズの17に大きく差をつけた。

ウェールズはタックル失敗が31回で成功率は78%(フィジーは82%)と、フィジーの攻撃にすっかり振り回されていた。

ウェールズのウォーレン・ガトランド監督は「とてもタフな試合だった。フィジーには個々の能力が極めて高いアスリートがいた。0-10とリードされたところから選手たちは優れた人間性を発揮し、ボーナス点を取って勝った。この経験がチームを前進させるきっかけになって欲しい」と試合を振り返った。

一方、フィジーのジョン・マキー監督は「これだけ素晴らしいウェールズと渡り合えたことは、単に試合に出た選手だけでなく、コーチングスタッフ、試合登録メンバー外だった選手も含めた全員の功績だ。世界の舞台で、フィジーの実力を示すことができて喜んでいる」と話した。

ウェールズはこの日の勝利でD組1位となり、4日後の13日にウルグアイと対戦する。


けが人続出

ウェールズはこの試合で、今後の不安材料を抱えることとなった。

ビガーとジョナサン・デイヴィスが負傷交代。ビガーは2試合続けての頭部損傷で、次の試合の出場は絶望的だ。20日が予想される準々決勝に戻ってこられるかも現時点で不明。

膝を痛めたデイヴィスも1次リーグ期間中に回復が間に合うかは疑わしい。また、アダムスも後半30分に3トライ目を挙げた時の負傷で交代している。

これでウェールズとフィジーのW杯での対戦成績は、ウェールズの2勝1敗。2007年大会ではフィジーが38-34で勝つ番狂わせを起こしている。ウェールズにとって、10点差の逆転は、最終的に28-25で勝った前回大会のイングランド戦に並ぶW杯での最多得点差タイ。


この試合の最優秀選手:セミ・ラドラドラ(フィジー)

この試合の最優秀選手には、両チームを通じて相手ディフェンスを突破した回数(7)がトップタイ、前進した距離(124メートル)は2位だった、フィジーのWTBセミ・ラドラドラが選ばれた。負けたチームから選ばれるのは珍しい。

(英語記事 Wales come from behind to beat Fiji

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49992869

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