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2019年10月16日

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イギリスの欧州連合(EU)離脱をめぐる協定の交渉が大詰めを迎えている。一部の英メディアは16日朝にも協定の草案が発表されると報じたが、英首相官邸は交渉はなお継続中だとしている。

イギリスは10月31日午後11時(日本時間11月1日午前8時)にEUを離脱する予定だが、まだ離脱協定の合意には至っていない。

ボリス・ジョンソン英首相は、17日から始まるEU首脳会議(サミット)までに合意を取り付けるよう圧力を掛けられている。また、EU側のミシェル・バルニエ首席交渉官は、15日夜までに双方が合意に至る必要があるとしていた。

しかしBBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、それまでに協定の内容が決まるかは不透明だと説明する。バルニエ氏は16日に欧州委員会と会合する可能性があり、その後にEU加盟国大使に対して説明を行う予定のため、協定案に「青信号」が出るのは16日午後以降になると、クンスバーグ氏は見ている。


EU離脱、今後の予定

  • 10月17-18日:イギリスのEU離脱前に行われる最後のEU首脳会議。イギリスとEUはこの日までに離脱協定に合意することを目指している
  • 10月19日:イギリス議会での離脱協定あるいは合意なしブレグジットの承認期限。どちらも承認されなかった場合、首相は離脱延期をEUに要請することが義務付けられている
  • 10月31日:イギリスのEU離脱期限。現在の法律では、合意のあるなしに関わらず、午後11時にEUを離脱することになっている

英紙ガーディアンは15日、イギリス政府がブレグジット(イギリスのEU離脱)交渉でアイルランド国境や関税をめぐって大きく譲歩し、16日朝にも草案が発表されると報じた。

これに対し首相官邸の報道官は、「交渉は建設的に進んでいるが、やるべきことがなお残っている」としている。

また、ジョンソン首相は「時間に制限があることを理解している」と述べ、イギリス政府は「できるだけ早く」合意できるよう動いていると話した。

アイルランドのリオ・ヴァラッカー首相は、交渉は「正しい方向に進んでいる」とした一方、イギリス・EU間の溝はまだ残っていると話した。その上で、EUサミットまでに協定がまとまるかは不明だと述べた。

BBCのアダム・フレミング・ブリュッセル特派員は、EU側では、イギリスが10月31日に離脱しないのではないかとの憶測が広まっていると説明。ただ、短い延長で小さな問題に対処するのか、より大きな問題解決のために離脱がさらに延びるのかは疑問が残っていると話した。

通商関係で不一致

バルニエ首席交渉官は15日、EU高官への報告後の記者会見で、イギリスが数時間以内に、離脱協定の変更案に関する法的文書を用意するだろうと話した。

また、単一市場を保護したいEUの思惑と、北アルランドをイギリスの関税圏内にとどめたいというジョンソン首相の要請の妥協点を見極めるのは「非常に狭い道のりだ」と語った。

バルニエ氏は、交渉には進展があったものの、離脱協定に含まれる、将来の通商関係を定めた政治宣言の「対等な競争の場」条項について、大きな不一致があると述べた。

これらの条項では、競争政策、雇用の権利、環境水準、補助金といった領域で、イギリスがEUの基準から逸脱することを制限している。

イギリスは、EUから独立した通商政策を策定するには、こうした条件が緩和されなければならないと主張。一方のEUは、イギリスがEUのルールに従わずに単一市場にアクセスすれば、イギリス側に不当に有利になるとしている。

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イギリスは19日に緊急審議へ

イギリス議会は9月、EUからの合意なし離脱を回避する通称「ベン法」を成立させた。

この法律では、首相は10月19日までに離脱協定の議会承認を得るか、下院から合意なし離脱の承認を取り付けなくてはならないと規定。それができなかった場合、首相は離脱期限を2020年1月31日まで延期するよう、EUに要請することを義務付けている。

そのため、EUサミットまでに離脱協定がまとまるかが最初の焦点となっている。

協定がまとまれば、イギリス議会はこれを離脱協定法案として19日の緊急審議で可否を問う予定。協定がない場合にも、合意なし離脱について投票する見込みだ。

ただ、与党・保守党のジェイコブ・リース=モグ下院院内総務は、19日に緊急審議を行うかどうかはEUサミット次第で、確定ではないと話している。

これに対し最大野党・労働党は、ジョンソン首相が何らかの方法でベン法を回避するのではないかとみており、首相がベン法に従うよう裁判所にはたらきかけると示唆している。

ジョンソン首相は支持固めに奔走

こうした中、ジョンソン首相は保守党のEU離脱派や北アイルランドの民主統一党(DUP)に対し、協定案で示したアイルランドの国境をめぐる「バックストップ」代替案について支持を取り付けようとしている。

DUPのアーリーン・フォスター党首は、14日と15日に首相官邸で協議を行った。その後の声明でDUPは、「詳細についてコメントしない」と述べた上で、「溝はなお残っており、さらなる協議が必要だ」との見解を示した。

フォスター党首は先にBBCの取材に対し、北アイルランドがイギリスの関税圏内にとどまるという「我々の原則」を保持すると話している。

15日には、保守党の離脱派議員が構成する「欧州調査グループ(ERG)」も首相官邸での協議に参加。同グループのスティーヴ・ベイカー会長はその後、「容認できる合意」が締結できることに「前向き」だと語った。

(英語記事 Brexit talks continue amid claims deal is close

提供元:https://www.bbc.com/japanese/50064913

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