BBC News

2019年11月13日

»著者プロフィール

オーストラリア南東部ニューサウスウェールズ州で森林火災が続き、12日にはシドニー郊外にまで火の手が迫った。オーストラリア当局が発表した。

約600万人が暮らすニューサウスウェールズ州では各地で火災が継続。600以上もの学校が閉鎖されている。

この日の気温は35度、風の強さは時速80キロに達した。

「終息はほど遠い」

州内の森林火災の数は、約100カ所から約300カ所にまで拡大したと、地元メディアは報じている。

12日に新たな死者は報告されなかったが、消防は同州が直面している危険の終息にはほど遠いと警告した。

消防によると、12日に損壊あるいは全焼した住宅は50棟に上るとみられる。

1000キロにわたって延焼

消防士3000人が、同州北部沿岸で約1000キロにわたる森林火災の消火活動にあたっている。他の州やニュージーランド、オーストラリア国防軍も応援に入っているという。

当局によると、複数カ所で、それぞれ「10万ヘクタール以上」延焼しているという。

火の手がシドニー中心部から15キロ以内に到達したため、消防は航空機を使って赤色の難燃剤を散布した。

散布地域は、マッコーリー大学から、富裕層が暮らすシドニー北部サウス・ターマラにあるシドニー・アドヴェンティスト病院までの範囲。

当局によると、消防士1人が腕を骨折した。肋骨を骨折した可能性もあるという。

プールの水で消火

火の手が迫るサウス・ターマラの住民の一部は、プールの水を使っての消火を強いられた。

シェーン・フィッツシモンズ消防署長は、「鎮火への道のりは本当に長い。次にまた悪天候に見舞われる前に、すべての火災に対応できないのは間違いない」との見方を示した。

また、「残念ながら、意味のある一時的救済は存在しない。雨は降らず、今後数日から数週間は温かく乾燥した状態が続くだろう」と述べた。

最も危険な森林火災

火災状況が悪化した8日以降、3人が死亡し、住宅170棟以上が全焼した。当局は、「この国がこれまでに直面した中で最も危険な森林火災」だとしている。

消防当局によると、9月以降、ニューサウスウェールズ州では約100ヘクタールが焼けたという。

複数の専門家は、今回の火災を、173人が犠牲になった2009年のヴィクトリア州での森林火災「ブラック・サタデー」と比較している。

ニューサウスウェールズ州と隣接するクイーンズランド州は、55カ所で森林火災が発生したことをうけ、非常事態を宣言している。

クイーンズランド州は12日、悪天候には見舞われなかったものの、当局は週後半に状況が悪化するおそれがあると警告した。南オーストラリア州では消防が十数カ所で消火活動にあたった。

気候変動との関連は

科学者や専門家は、気候変動の影響でオーストラリアでの森林火災は長期化し、より激しくなっていると警告している。

当局は、2018年と2017年が、オーストラリアでの観測史上3番目と4番目に暑い年だったと認めている。また、昨年には観測史上最も暑い夏に見舞われた。

オーストラリア気象局の2018年の報告書によると、気候変動が猛暑日の増加や、干ばつなどの過酷な自然災害の増加につながっているという。

2015年のパリ協定で米国など188カ国は、世界の気温上昇を産業革命前から2度より「かなり低く」抑えることを目標とし、さらに上昇幅を1.5度まで抑えるべく努力すると合意した。

しかし、もしそれを実行したとしても、科学者はオーストラリアは危険な新しい常態(ニューノーマル)に直面していると考えている。

国連の報告書によると、オーストラリアは昨年、二酸化炭素(CO2)総排出量削減の目標水準に達していなかった。

一方、オーストラリア政府は、気候変動が森林火災につながっているとの見方を否定している。

(英語記事 Australian bushfires reach Sydney's suburbs

提供元:https://www.bbc.com/japanese/50400138

関連記事

新着記事

»もっと見る