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2019年11月14日

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暴風雨に見舞われたイタリア・ヴェネチアの大部分が12日夜、観測史上2番目となる高潮の影響で浸水した。ルイジ・ブルニャーロ市長は、気候変動が直接的な原因だとして、政府に早急に対応するよう求めた。

この日、ヴェネチアの水位は約50年間で1番の高さにまで上昇。ブルニャーロ市長は、「永久に消えない跡」を残すだろうとツイートした。

「今こそ、政府は耳を傾けなければならない。このような被害は気候変動の影響によるものだ。(中略)費用は高くつくだろう」

観測史上2番目の水位

イタリアは12日に大雨に見舞われた。今後数日は、天候はさらに悪化するとみられる。

北東部にあるヴェネチアは、100以上の島からなる、ヴェネチア湾の干潟(ヴェネタ潟)の上につくられた街。海抜が低く、毎年浸水被害を受けている。

ヴェネチアの潮位監視予報センターによると、最高水位は1メートル87センチに達した。同センターが観測を開始した1923年以降で最も水位が上がったのは1966年で、1メートル94センチだった。今回は観測史上2番目の水位。

観光地が完全に浸水

複数の写真では、人気の観光地が完全に浸水している様子や、市民が水浸しの街中を歩く様子が確認できる。

市内で最も海抜が低いエリアにあるサン・マルコ広場などが、最も深刻な被害を受けた。

記録によると、サン・マルコ寺院は1200年の歴史の中で、6度の浸水被害を受けた。このうち今回を含む4度の浸水は、過去20年の間に起きたと、サン・マルコの評議会メンバー、ピエールパオロ・カンポストリーニ氏は述べた。

ブルニャーロ市長は、有名なランドマークが「致命的な被害」を受けたと述べた。サン・マルコ寺院の地下は完全に浸水しており、寺院の円柱への損傷が懸念されている。

アドリア海とヴェネタ潟を隔てる島、ペレストリーナでは2人が死亡した。1人は自宅で感電死、もう1人は別の場所で死亡していた。

「速やかに」浸水防止計画を

ブルニャーロ市長は、被害は「甚大」としており、非常事態宣言を発令する方針。市長は、ヴェネチアが壊滅的な浸水に見舞われるのを防ぐ計画を「速やかに完了させなければならない」と警告した。

市長は「劇的な状況だ。我々は、政府に対し支援を求める」とツイート。水位が下がるまで学校の閉鎖は続くだろうと付け加えた。

ヴェネチアを浸水被害から防ぐための計画は2003年以降進められているものの、経費の高騰や汚職問題などで度々先延ばしとなっている。

「モーゼ・プロジェクト」と呼ばれる浸水対策計画は、海面上昇や冬場の暴風雨の際に、障壁あるいは水門が海底からせり上がり、街を守るというもの。2013年に行われた初の実験では成功している。

この計画にはすでに数十億ユーロが投資されている。イタリアの運輸省によると、洪水防止壁は実験の「最終段階」を経て、2021年末にヴェネチア市議会へと納品される予定という。

ブルニャーロ市長は、地元企業に対し、被害状況を捉えた写真や動画をシェアするよう求めた。政府からの財政援助を要請する際に有効だとしている。

街は「崩壊寸前」

多数の店舗などが影響を受け、カフェやレストランの外には椅子やテーブルが浮かんでいた。店内では、従業員が商品が水に浸からないよう移動しようとしていた。

ある従業員は、「ヴェネチアは崩壊寸前だ」と、イタリア公共放送RAIに述べた。

水上バス3台が沈んだほか、13日朝には、多数のボートが岸に打ち上げられているのが確認された。

一方で、旅行客はできる限り観光を続けた。

あるフランス人カップルはAFP通信に対し、市内の浸水しやすいエリアに設置された渡し板の一部が転覆したため、泳いだと述べた。

気候変動の影響は

BBC気象担当のニッキー・ベリー氏は、高潮と、アドリア海を越えてイタリアに吹く強い風「シロッコ」による暴風雨が合わさったことで、今回の浸水が起きたと説明。高潮はイタリア語で「アックア・アルタ」と呼ばれる。

今回の「アックア・アルタ」は、観測史上2番目の水位に達した。過去には10度、最悪の高潮が発生しているが、そのうち5回は過去20年間で発生。直近では、昨年発生しているという。

ベリー氏は、1つの事象を気候変動に結びつけるべきではないものの、ヴェネチアのような街は気候変動による海面上昇の影響を受けやすく、高潮の発生頻度の増加は明らかに重大な懸念事項だと指摘した。

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(英語記事 Venice mayor blames record flood on climate change

提供元:https://www.bbc.com/japanese/50414501

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