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2019年11月18日

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ジョニー・ダイモンド王室担当編集委員

性的人身取引で起訴され勾留されていた米富豪ジェフリー・エプスティーン被告(66)がニューヨークの拘置所内で急死した問題で、被告と親交のあった英王室のヨーク公アンドリュー王子がBBCの単独インタビューに応じた。インタビューでは3つの大きな疑問と、その周りに積みあがるたくさんの小さな疑問について、王子がどう回答するのか注目された。

(編集部注・ Jeffrey Epstein被告の姓は、日本語メディアで「エプスタイン」と表記されることもありますが、BBCでは当人を知る関係者たちの発音に近い「エプスティーン」と表記しています)

インタビューでは、エミリー・メイトリス記者が大きな疑問について再三尋ねた。アンドリュー王子は2001年、当時17歳だったヴァージニア・ジュフリー(旧姓ロバーツ)さんと性的関係を持ったのか? エプスティーン被告が未成年を売春に勧誘・斡旋(あっせん)した罪で有罪を認めた2年後の2010年に、被告と会っていたのはなぜか? そして、17歳のジュフリーさんの腰に手を回しているように見える写真についてどう説明するのか?

このインタビューは、イギリス国内で16日夜に放送された。国外からはYouTubeで視聴できる(英語)

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2010年にニューヨークのエプスティーン被告宅に滞在した件についてアンドリュー王子は、後悔する様子は見せなかったものの、(振り返ってみれば)自分は悪いことをしたと明言した。王子によると、この時にエプスティーン被告と会ったのは交際を断つと伝えるのが目的だったという。

アンドリュー王子は、2006年に米フロリダ州パームビーチの警察が未成年への性的加害行為について捜査を始めたと知ってからはエプスティーン被告と話していなかったし、服役中も連絡は絶っていたと説明。2010年にエプスティーン邸に滞在したのは「便利だった」からで、友人関係ではいられないと話すのが訪問の唯一の目的だったと述べた。この時点で2人は4年間、顔を合わせていなかった。

電話で断交を伝えるのは「臆病」なことで、当時自分は「高潔すぎた」のだとアンドリュー王子は話した。つまり、正しいことのために悪いことをしたと言っている。この取材の中で、アンドリュー王子がエプスティーン被告との11年にわたる交友関係について間違いだったと認めたのは、この時だけだったと言っていい。

一方、ジュフリーさんが王子との性行為を3回にわたり被告に強制させられたと訴えている件については真っ向から否定し、ジュフリーさんの主張のつじつまが合わない理由を次々に挙げた。

ジュフリーさんは、ナイトクラブで王子に飲み物をおごってもらったと話しているが、王子はそのナイトクラブのどこにバーカウンターがあるか知らないと述べた。ジュフリーさんは一緒に踊った後に王子は汗だくになっていたと説明しているが、王子は当時、何らかの医学的な症状でまったく汗をかかなかったと話している。なお、その病状は今は治っているという。ジュフリーさんは王子と一緒に寝たと主張しているが、王子はその日、娘をピザ・レストランで開かれたパーティーに送って行った後、夜は自宅で過ごしたと主張している。

アンドリュー王子はジュフリーさんを覚えていない、記憶にないと述べ、さらに性行為に及んだことはないと強く繰り返した。

では、ジュフリーさんの肌を露出した腰に腕を回している写真は? この写真は、疑惑をはっきりと否定しているアンドリュー王子とイギリス王室を悩ませてきた。BBCのインタビューで、王子は記憶にないと話し、それ以上の説明はなかった。

ここ数カ月の間、王子のいわゆる「友人たち」が、この写真の信憑性(しんぴょうせい)を疑問視するよう、うわさを流している。

王子自身はそこまで深くは切り込まなかったものの、自分はスーツとネクタイを好んでいて、この写真で着ているような服は旅行用の服装で、ロンドンでは着ないと述べた。また、この写真が撮られたロンドンの邸宅の上階には行ったことがないとも話した。この写真については覚えておらず、どこから出てきたのかという説明もできないとしている。

今回の取材では、謝罪や後悔を示すような言動はほとんどなかった。2010年にニューヨークのエプスティーン邸を訪れたということ以外、アンドリュー王子は何一つ悪いことをしていないと考えている。

長年にわたって少女を搾取し、虐待してきた被告との友好関係を後悔していない。その関係には、「非常に良い成果もあった」と話している。

また王子は取材中、性犯罪で有罪となったエプスティーン被告に対し、まるでテーブルマナーを間違えたことをいさめるかのような表現で、「みっともない真似」をしたと説明した。

メイトリス記者がすぐさま、エプスティーン被告は性犯罪者だと強調すると、王子は謝罪し、「あえて丁寧に言っているんです」と答えた。

アンドリュー王子は、訪れたことのあるエプスティーン被告所有のさまざまな邸宅についても、疑念を持っていなかったようだ。米紙マイアミ・ヘラルドは、14歳から15歳の少女数人がエプスティーン被告にマッサージをしに訪れたパームビーチの場所を徹底的に調べ上げた。その日、被告はこの少女らを性的に搾取したかもしれない。

しかし王子は、エプスティーン被告をよく知らず、年に数回会うほどでしかなかったと苦し紛れに説明した。また、未成年搾取の素行を隠すために「行動パターンを変えていたかもしれない」と話している。

アンドリュー王子とエプスティーン被告は1999年、被告が自分の一番の親友と呼んだギレイン・マックスウェルさんを通じて知り合った。王子が最後にマックスウェルさんと会ったのは今年の晩春だという。

2人にとってエプスティーン被告は、かつて共通の友人だった。マックスウェルさんと共にイギリス王室のウィンザー城やサンドリンガムの宮殿を訪れたり、アンドリュー王子にプライベートジェットや邸宅などを自由に貸し出したりしていた。そのエプスティーン被告は、今春のに2人の話題に上ったのだろうか。

アンドリュー王子の答えは「ノー」だった。

「彼は話題にはならなかった。私たちは先へ進んだので」

(英語記事 'Little apology or remorse' from Prince Andrew

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50455778

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