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2019年12月24日

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サウジアラビアの裁判所は23日、政権を批判していたジャーナリスト、ジャマル・カショジ氏が殺害された事件で、同国の当局者5人を死刑、3人を禁固刑とする判決を言い渡した。

カショジ氏は昨年、トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館で、サウジアラビア当局者の一団によって殺害された。

検察当局によると、リヤド刑事裁判所は5人に対し、「被害者の殺害に関与し直接加わった」として、死刑を宣告した。

他の3人については、「犯罪と違法行為を隠ぺいした」として、合計24年の禁錮刑を言い渡した。

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命令に従ったと主張

検察当局によると、カショジ氏殺害事件では31人を捜査対象とし、うち21人を逮捕した。

その後、匿名の11人がリヤド刑事裁判所で裁判にかけられ、うち5人が死刑を求刑されていた。


サウジアラビア当局は、カショジ氏殺害は「勝手な作戦」の結果だったとしていた。

国連によると、裁判で被告の弁護団は、被告たちは政府職員だったため上司の命令に背くことはできなかったと主張したという。

皇太子側近は無罪

事件をめぐっては、国連のアニエス・カラマール特別報告者が6月、サウジアラビア政権によるものと断定。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子や政権高官の関与を示す、信頼できる証拠があるとしていた。

皇太子は関与を否定したが、「サウジ政府職員による犯罪なので、サウジアラビアの指導者としてすべての責任」を負うと10月に話した。

検察当局によると、皇太子側近のサウド・アル・カハタニ元王室顧問が解任され殺人容疑で捜査されたが、証拠不十分で不起訴となった。情報機関のアハメド・アシリ元副長官は起訴されたが、証拠不十分で無罪となった。


国連のカラマール氏はツイッターで、裁判を「正義と真逆のもの」と批判。「結果的に、実行犯は有罪となり死刑が言い渡された。首謀者は自由の身となっただけではない。捜査や裁判の対象にすらほとんどならなかった」と書いた。

「受け入れられない」

トルコ外務省はこの日の判決について、「この殺人のすべての点を明らかにし、正義を実現するという、トルコや国際社会の期待に応えない」とコメントした。

カショジ氏の婚約者ハテイチェ・チェンギスさんは、サウジアラビアの発表について「受け入れられない」と述べた。

カショジ氏がコラムを書いていた米紙ワシントン・ポストの発行人は、「透明性が皆無で、サウジ政府が独立した捜査への協力を拒んだことは、この裁判が見せかけのものに過ぎなかったことを示している」と述べた。

一方、カショジ氏の息子でサウジアラビア在住のサラフ氏は、「サウジの司法に全幅の信頼を寄せている。私たちに公平で、正義が実現された」とツイートした。

殺害は突発的?

サウジアラビアの検察当局は23日、記者会見を開き、捜査の結果、「殺害に関する事前謀議はなかった」との結論に至ったと説明。

「殺害は突発的なものだった。協議チームのトップが総領事館の周辺を調べ、被害者を安全な場所に移動させて協議を再開することは不可能だと認識したときに起きた」

「協議チームのトップと実行犯たちが話し合い、総領事館内で被害者を殺すことで同意した」と述べた。

これに対し国連のカラマール氏は、カショジ氏が総領事館を訪れる前に、政府職員2人が死体をどう切断して運ぶかを協議していた音声の録音があると指摘。

事前の謀議はなかったという説明を、「まったくばかげている」と非難した。

「残忍に殺害された」

サウジアラビアの政権に批判的だったカショジ氏は、2017年に自ら国を離れ、米国に拠点を移した。

2018年10月2日に、トルコ人のチェンギスさんとの結婚に必要な書類手続きのため、イスタンブールのサウジアラビア総領事館に入ったのを最後に、姿が確認できなくなった。当時59歳だった。

国連のカラマール氏は、トルコ情報機関が録音した、総領事館内での会話とされる音声を聞いた後、カショジ氏はその日のうちに「残忍に殺された」と結論していた。

(英語記事 Saudis sentence five to death for Khashoggi murder

提供元:https://www.bbc.com/japanese/50890804

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