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2020年1月7日

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アメリカ政府は6日、イラクに駐留する米軍が撤退準備を進めているとする書簡が、誤ってイラク側に送付されたと明かした。マーク・エスパー国防長官は、「撤退の決定は一切していない」とイラク撤退を否定した。

イラク・バグダッドでは3日、イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のトップ、カセム・ソレイマニ司令官が、ドナルド・トランプ米大統領の指示により、米軍のドローン攻撃で殺害された。

これを受け、イラク議会は5日、国内に駐留する外国部隊の撤退を求める決議を採択していた。

撤退を示唆する書簡は、イラク駐留米軍の司令官ウィリアム・シーリー准将がイラク陸軍のアブドゥル・アミール中将に送付したとされ、「今後数日から数週間のうちに、軍を再配置」すると書かれていた。

イラクには現在、過激派勢力「イスラム国(IS)」と戦う国際有志連合に参加する形で、約5000人の米兵が駐留している。

ソレイマニ司令官殺害をめぐっては、イラン国内や周辺地域の緊張が急速に高まっており、イラン側は「厳しい報復」措置を講じると警告している。

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書簡の内容

書簡は、「閣下、イラク共和国の主権を尊重し、またイラク議会とイラク首相からの要請を受け、対IS有志連合『生来の決意』は、前進準備のために、今後数日から数週間のうちに軍を再配置するだろう」としている。

また、「イラク撤退作業が安全で効率的な方法で行われるようにするために(中略)夜間の」空路移動を増やすなどの具体的な対策についても言及した。

さらに書簡は、「IZに、有志連合を増派するという見方は、払拭」されるだろうとしている。IZとはインターナショナル・ゾーンの略で、別名グリーン・ゾーンと呼ばれる、首都バグダッドで官公庁や外国公館などが集まる重警備地区を指す。

「イラク撤退の決定は一切ない」

エスパー国防長官は記者団に対し、「イラクから撤退する決定は一切していない。あの書簡が何なのか私には分からない。(中略)書簡がどこから出てきたもので、いったい何なののか、突き止めようとしている」と述べた。

その上で、「イラクから撤退するという決定はしていない。以上だ」と強調した。

「書簡は誤り」

その後、米統合参謀本部のマーク・ミリー陸軍参謀総長も記者会見に登場し、書簡は「誤り」だったと述べ、米軍はイラクから撤退しないと繰り返した。

ミリー氏は、送付された書簡について、表現が不十分なままの下書きだったと釈明。署名もなく、公表されるべきものではなかったと話した。書簡が出回っていたのは、当事者から意見を求めるためで、イラン側にも渡っていたという。

「(書簡は)空路移動などの調整のために、イラク軍の一部の主要関係者に送付された。その後、書簡はその人物から別の人物へと渡り、あなた方の手元へ渡った。そして今、こうした騒動になっている」とミリー氏は述べた。

何が起きているのか

ミリー氏は、この問題について、イラク側と連携して「対応」しているとしたが、詳細は明かさなかった。

BBCのジョナサン・ビール防衛担当編集委員は、ツイッターに書簡の画像を投稿。「この有志連合の文書は正真正銘本物のようだが、誤解を招くし、ひどい表現が使われている。私は、有志連合筋から、この書簡は、アメリカが軍をグリーンゾーンから撤退させて別の場所に配置することをイラク側に知らせるためのものだと聞いた。イラクからの撤退ではない」と書いた。

https://twitter.com/bealejonathan/status/1214291610466471938


この話は、ほかの複数の有志連合筋の話でも確認されている。米軍のグリーンゾーンからの撤退は、バグダッドに駐留する兵士の数を「間引く」ためだったという。

トランプ大統領は5日、イラクから米軍が撤退した場合、イラクに対して厳しい制裁を科すと警告した。

「我々はあそこに、ものすごく高い空軍基地を置いている。建てるのに何十億ドルもかかった。向こうが払い戻さない限り、出て行かない」と、大統領は述べた。

(英語記事 US denies Iraq pullout amid letter confusion

提供元:https://www.bbc.com/japanese/51015811

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