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2020年1月9日

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イギリス王室のサセックス公爵ハリー王子とメガン妃は8日、王室の「主要」メンバーとしての役割から距離を置き、経済的にも独立すると発表した。

公式ウェブサイトで発表された声明で公爵夫妻は、今後はイギリスと北米を行き来しながら活動を行うとしている。

BBCの取材によると、この発表はエリザベス女王や皇太子との相談なく行われた。バッキンガム宮殿は、夫妻の決定に「失望している」と声明を発表。王族らはこの発表に「心を痛めている」という。

ハリー王子はエリザベス女王の孫で、チャールズ皇太子と故ダイアナ元妃の次男。王位継承権で6位に位置する。2018年5月にアメリカ人で元女優のメガン・マークルさんと結婚し、昨年5月に第1子のアーチーちゃんが生まれた

しかし10月、夫妻はメディアから注目され続けることに悩んでいると発言。また、手紙を不当に公開されたとして英タブロイド紙を提訴した。

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突然発表された声明でサセックス公爵夫妻は、今回の決断は「何カ月にもわたって熟考し、内々に話し合った結果」だと説明した。

「私たちは女王陛下を全面的に支援し続ける一方で、王室の『主要』メンバーとしては距離を置き、経済的に独立するために働こうと思っています」

また、今後はイギリスと北米を行き来する生活を考えていると述べた。その上で、「女王やイギリス連邦への責務、そしてパトロンとしての役割を尊重し続けます」としている。

「この地理的なバランスによって、息子を王室の伝統にのっとって育てられると同時に、新たな慈善組織の発足など、次の段階へ進む余裕を私たち家族に与えてくれるでしょう」

「不和は大きい」

BBCのジョニー・ダイモンド王室担当編集委員は、バッキンガム宮殿側が使った「失望」は「とても強い言葉」だと説明した。

「何が起こったのかではなく、どうやってそれが起きたのかについて、王室内が本当に感情的になっている表れだと思う。相談がなかったことも、その原因だろう」

「ハリー王子とメガン妃と、残りの王族との間に大きな不和があることは明らかだ」

バッキンガム宮殿の報道官は、サセックス公爵夫妻の決定をめぐる話し合いは「初期段階」にあると述べ、「2人が異なるアプローチをしたいことは理解しているが、複雑な問題なので、解決には時間がかかるだろう」と話した。

サセックス公爵夫妻はクリスマスから新年にかけ、6週間にわたって公務を休み、アーチーちゃんと共にカナダに滞在していた。

メガン妃はカナダに滞在中、「カナダの美しさ」を楽しみ「素晴らしい時間を過ごした」と話した。メガン妃は結婚前、米テレビドラマ「スーツ」に出演中にカナダのトロントに住んでいたことがある。

「経済的に独立」に疑問の声も

バッキンガム宮殿の元報道官ディッキー・アーバイター氏は、今回の発表はハリー王子が「論理より心を優先した」結果だと指摘した。

特に、アーチーちゃんが生まれた際に受けた「激しい批判報道」が、決定打の一部だっただろうと話した。

また、夫妻が王室と距離を置こうとしている事実を、離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンさんと結婚するため、エドワード8世が1936年に退位したことになぞらえた。

「前例はほかにもあるが、現代では同じようなことは起こったことがない」

さらに、王室としての公務を「パートタイム」で行うことや、夫妻が経済的に独立することについて、「ハリー王子は貧しくはないが、2つの大陸で生活し、家族を養い、仕事をする――これらの資金繰りはどうなるのか」と疑問を投げかけた。

「特に、セキュリティー面での資金繰りはどうなるのか。彼らにはなおセキュリティーが必要になるが、一体誰が払うのか? 人員はどこから来るのか? ロンドン警視庁がそれをやるとしても、そのコストをまかなうような献金が行われるのか?」

BBCのダイモンド編集委員も、ハリー王子には故ダイアナ妃からの遺産が、メガン妃には女優時代の報酬があり、夫妻には「ばく大な貯金がある」とした一方、王室から離れて仕事を得ることは難しいと分析した。

「王室の中核にいる人が仕事を得るのは、たとえ本人がもう主要メンバーではないと言っているとしても、問題が付きまとう。彼らは王室というブランドでお金をもらっていると見られるし、利益相反についてあらゆる疑問を投げかけられるだろう」

その上で、新しい王族としてのあり方が通用するのか、あるいは「2人が本当に王室を離れようとしている道半ばなのか」、今後のなりゆきを見守るしかないと述べた。

チャールズ皇太子の公邸クラレンス・ハウスによると、チャールズ皇太子はコーンウォール公領の収入からハリー王子とメガン妃、長男のケンブリッジ公爵ウィリアム王子とキャサリン妃の公費、そして4人の私費の一部を支払っている。昨年のコーンウォール公領の収入は2160万ポンド(約30億円)だった。

メガン妃が王室に加わった昨年の支出合計は500万ポンド強と、前年から1.8%増えている。

王室に関する著書のある作家ペニー・ジュノーさんは、「2人の決定がどのように実現していくのか全く分からない。ちゃんと考えられていないように思える」と話した。

一方で、「大変なことだが、同時に悲しくもある。2人は愛されていないと感じているのかもしれない。実際にはとても愛されているのに」と述べた。

メディアとの確執

昨年、英民放ITVで放送されたドキュメンタリーでメガン妃は、新聞の過熱報道によって子育てに「苦労している」と語った。

一方この番組でハリー王子は、仲たがいが噂されてきた兄のウィリアム王子との関係について、「今は別々の道を歩いている」と述べた

10月にはメガン妃が、個人的な手紙を不法に掲載したとして、英タブロイド紙「メイル・オン・サンデー」を提訴。ハリー王子も、英タブロイド紙「サン」と「デイリー・ミラー」のオーナーを相手取り、電話が盗聴された疑いにからんで裁判を起こした。

ハリー王子はこの時に発表した声明で、「私はかつて母を亡くし、今は妻が、同じ強力な勢力の犠牲者になるのを見ている」と批判した。

サセックス公爵夫妻は2018年、ケンブリッジ公爵夫妻の住むケンジントン宮殿を離れ、ウィンザーにある王室所有地フロッグモア・ハウスに移転。昨年夏には、ケンブリッジ公爵夫妻と共同で保有していた慈善団体から離脱し、独自の慈善プロジェクトを立ち上げている。

(英語記事 Harry and Meghan to step back as senior royals

提供元:https://www.bbc.com/japanese/51043338

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