BBC News

2020年3月15日

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トランプ米政権は14日、新型コロナウイルス対策として欧州26カ国を対象に始まった入国制限を、日本時間17日午前からイギリスとアイルランドにも広げると発表した。

マイク・ペンス米副大統領は、イギリスとアイルランドからの入国を、米東部時間16日深夜(英グリニッジ標準時17日午前4時)から制限すると表明した。アメリカ国民や定住者の帰国は認められる。ペンス氏によると、欧州から帰国する国民や定住者は、「特定の空港を通過し、対応を受ける」という。

ドナルド・トランプ大統領が11日に発表した、欧州26カ国(欧州域内の自由移動に関する「シェンゲン協定」の加盟国)を対象にした入国制限は、米東部時間14日午前零時(日本時間同日午後1時)から始まった。これにはイギリスやアイルランドは対象外だった。渡航制限には欧州連合(EU)が強く反発している

イギリスとアイルランドも渡航制限の対象に含めることについてトランプ氏は記者会見で、「残念ながら、(両国で)多少の動きがあった」と述べた。

イギリスでは13日から14日にかけて24時間の間に、基礎疾患のあった感染者10人が死亡。それまで11人だった死者数が21人に増えた。

世界保健機関(WHO)によると14日現在、136の国・地域で感染が確認されている。WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は13日、新型コロナウイルスの感染拡大について、今では欧州が「震央」だと述べた。

全国的な移動制限を実施したイタリアに続き、スペインも16日から15日間の行動制限を全国で開始する方針。

米政府によると、国内ではこれまでに2488人の感染が確認され、51人が新型ウイルスによる感染症で死亡したという。

アメリカで検査拡大へ

ペンス副大統領はさらに14日の記者会見で、アメリカの全国民に無料の新型ウイルス検査を提供すると発表した。

「準備万端になった」と、米国立アレルギー・感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は強調した。アメリカではこれまで新型ウイルス検査の不備や遅れが批判されており、ファウチ所長自身がその「失敗」を議会証言で認めていた


国民皆保険制度のないアメリカでは、新型コロナウイルスの感染を疑っても多くの人が費用面で検査をためらうのではないかと懸念されていた。

国内では2700万人以上がまったく医療保険のない無保険状態なうえ、さらに数千万人は保険に加入していても自己負担分が大きい。

こうした状況で、トランプ大統領は13日、国家非常事態を宣言し、、最大500億ドル(約5兆4000億円)の連邦政府予算を検査や治療の拡充に充てると発表。野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は同日、医療保険に未加入の人も無料で検査を受けられるようにするなどの包括支援策でホワイトハウスと合意したと発表した。

米連邦議会では12日、保健当局の説明を受けて複数の与野党議員が、国内で検査を受けた人は1万人に達していないと強い懸念を示していた。

これに対して、アメリカ(人口約3.3億人)よりはるかに人口の少ない韓国(同5100万人超)では、21万人が検査を受けている。人口約6700万人のイギリスでは、3万2000人以上が検査を受けている。

トランプ氏の検査結果は陰性と

同じ記者会見でトランプ大統領は、自分も検査を受けたと発表。ホワイトハウスは後に、トランプ氏は陰性と判定されたと明らかにした。

トランプ氏については、フロリダ州の自分のリゾートで隣に立つなど、接触した3人の感染が確認されているため、73歳になる大統領自身の感染の可能性が懸念されていた。トランプ氏はこれまで新型ウイルスの危険性を過小評価してきただけに、13日の記者会見では記者に「検査を受けないのは身勝手ではないか」と追及され、「近いうちに受ける」と答えていた。


トランプ氏は14日の記者会見で記者団に、会見室に入る前に検温をして、「まったく正常だ」と確認したと述べた。

ホワイトハウスは今では、大統領やペンス副大統領に接近する全員の体温を計っている。

米保健当局の公式方針では、感染が確認された人と接触した人には14日間、自宅で自主隔離するよう指示している。

ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領が7日に、トランプ氏が所有する米フロリダ州のリゾート「マール・ア・ラーゴ」を訪れた際、同行していた大統領報道官ファビオ・ワインガルテン氏の感染が確認された。ワインガルテン報道官とボルソナロ大統領が、トランプ大統領やマイク・ペンス米副大統領と記念撮影した際、ワインガルテン氏はトランプ氏の真横に肩を並べて立っていた。

ボルソナロ大統領はウイルス検査の結果、陰性だったという。

一方ブラジルのグロボニュース・テレビによると、マール・ア・ラーゴでの会食に同席した駐ワシントンのブラジル臨時代理大使は、感染が確認された。

訪米中のワインガルテン氏と会ったフロリダ州マイアミのフランシス・スアレス市長は13日、陽性判定が出たと発表した。

ブラジル政府代表団は、マール・ア・ラーゴでほかにトランプ氏の長女イヴァンカさんと夫ジャレド・クシュナー氏、トランプ氏の弁護士ルディ・ジュリアーニ氏とも会っている。

同席していた与党・共和党のリンジー・グレアム上院議員は12日、「念には念を入れて」自主隔離すると発表した。


(グラフは中国以外で感染が広がる様子。感染者が最も多い国や場所の順番が日を追うごとに入れ替わる)



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(英語記事 Coronavirus: US to extend travel ban to UK and Ireland / Trump tests negative for coronavirus - White House doctor

提供元:https://www.bbc.com/japanese/51893715

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