BBC News

2020年3月18日

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スティーヴン・ムニューシン米財務長官は17日、新型コロナウイルスによる経済危機を回避するため、総額1兆ドル(約107兆円)規模の景気刺激策を検討しているとし、米国民に現金給付する案を支持する考えを表明した。

ムニューシン氏は、「アメリカ国民に直ちに小切手を送る考えだ」、「アメリカ人はいま現金を必要としており、大統領はいま現金を給付したいと思っている。いまというのは2週間以内のことだ」と述べた。

米政府は巨額の経済対策を議会と協議しており、総額2500億ドル(約26兆9000億円)分の小切手の送付はその一部となる。個人が受け取る小切手の額や受給資格などは検討中。

アメリカでは新型ウイルス感染者は6000人に近づいており、学校や商店を閉鎖する動きが広がっている。

航空業界などの救済も

イギリスの年間予算にほぼ匹敵する1兆ドルの経済対策は、2008年金融危機の際の対策よりも大型で、米連邦政府の昨年の歳出の約25%に当たる規模となる。

小切手の給付のほか、航空業界やホテル業界への救済措置などが含まれる見込み。この経済対策は議会の承認が必要となる。

今回の景気刺激策が発表された17日、ニューヨーク株式市場は大幅に反発した。それでも、前日の記録的な下落を回復するには至らなかった。

ムニューシン氏は1兆ドル規模の刺激策とは別に、米政府が企業や個人の納税期限を90日間延長することを明らかにした。

ドナルド・トランプ米大統領は当初、社会保障の財源となる給与税の減税を提案していた。しかし、効果が出るまでに時間がかかり過ぎ、失業者には恩恵が及ばないなどとする批判が出ていた。

有名エコノミストらは、1000ドル(約10万7000円)の現金給付などの直接支援を提案。共和党のミット・ロムニー上院議員を含む議員たちがこれを支持していた。

トランプ氏は、素早く直接的な支援が必要だと考えるようになったとし、「見えない敵を前に、国民が仕事を失い、生活費がなくなる事態は望まない」と述べた。

現金給付をどうみる

バラク・オバマ前大統領の政権時代、経済諮問委員会の委員長を務めた米ハーヴァード大学のジェイソン・ファーマン教授(経済学)は、現金給付を主張してきた。

ファーマン氏は、「人々が仕事を休む必要があるときに、休めるようになる。家賃の滞納を防ぐことにもなる」、「外出しないでお金を使う方法はたくさんある」とBBCに話した。

一方、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員のアドバイザーを務めるカリフォルニア大学のゲイブリエル・ザクマン教授は、大規模な失業や倒産を防ぐためには、政府は企業支援を優先すべきとの考えを示した。

ザクマン氏は、「1000ドルの小切手では不十分だ。アメリカに必要なのは、閉鎖中の小規模事業所の賃金と維持費の負担を大規模に支援することだ」とツイート。議会には両方の実施する道もあるとした。

https://twitter.com/gabriel_zucman/status/1239963928261578756?s=20

米議会は共和党と民主党で、必要な支援策をめぐって意見が割れている。

米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、企業が短期資金の調達に使うコマーシャルペーパー(CP)を最大総額1兆ドル買い入れる緊急措置の発動を発表した。2008年金融危機に設立した基金を使用する。

さらに、銀行に対し5000億ドルをオーバーナイトローンとして追加供給している。FRBはこれまで2度の緊急利下げをし、景気刺激策も打ち出している。


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(英語記事 US plans to pay Americans as part of $1tn stimulus

提供元:https://www.bbc.com/japanese/51940101

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