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2020年5月21日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 一戸建て住宅やマンションで、自殺や火災、孤独死などが発生した「事故物件」を中心にした、売りたい(貸したい)人と、買いたい(借りたい)人をマッチングさせるWEBサイトがある。「嫌われる物件」を仲介させて成約(成仏)させることから、「成仏不動産」と呼ばれている。サイトをオープンして約1年になる運営会社NIKKEI MARKS(横浜市中区)の花原浩二社長にその狙いは何かについて聞いた。

(Sundaemorning/gettyimages)

半数が条件次第では住みたい

 同社の市場調査で「事故物件」に住みたいかどうかを聞いたところ、48%が「住みたくない」に対して43%が「条件次第では住みたい」で、比率はほぼ半々という割合。取引が成立した案件のアパート賃貸、マンション購入者に聞いてみると、「事故物件」に対する強いアレルギーのある人がいる反面、「殺人や自殺は不可だが、孤独死なら気にならない」という人も意外と多くいる。

 中には人気のエリアだったことから、通常の相場が6500万円だったが4880万円で孤独死の「事故物件」を売り出してサイトに掲載すると、すぐに契約が成立した東京都稲城市の戸建てのケースもあるという。

年間3万件の孤独死

 全国で発生する年間の孤独死は3万件、このうち2018年に東京23区内の自宅での孤独死が8000件を超えた。また自殺は全国で2万件。最近は高齢者が孤独死するケースが増える傾向にあり、25年には1人暮らし高齢者が700万人に達し、孤独死が社会問題になると予想されている。そうなると住んでいた住居は「事故物件」となりがちだ。物件のある場所にもよるが、殺人事件が起きた場合、相場は半分に下落、自殺は5割から3割、孤独死は2割から1割下がるという。

 一般的に「事故物件」はいくらで売買できるか分からないため、「事故物件」と聞いただけで敬遠されることが多く、不動産業界では厄介者扱いされてきた。仲介業者も取り扱いをしたがらないようで、金融機関は「事故物件」の場合には査定しにくいことなどから、購入者への住宅ローンを認めないところもあるという。

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