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2020年5月8日

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米民主党の大統領候補指名が確実なジョー・バイデン前副大統領に対し、27年前に性的暴行を受けたと訴えている女性が、大統領選からの撤退要求を強めている。

タラ・リード氏(56)は7日に公開されたインタビューで、バイデン氏に「前に進み出て責任を取ってください」と要請。「あなたは人格の点でアメリカ合衆国大統領に立候補すべきではない」と話した。

リード氏はバイデン氏が上院議員だった当時、スタッフの助手だった

11月の大統領選でドナルド・トランプ大統領との対決が見込まれているバイデン氏は、リード氏の訴えを全面的に否定している。

疑惑の内容は?

バイデン氏は2008年に副大統領になる前は、デラウェア州選出の上院議員だった。リード氏は1992年から93年にかけて、スタッフ・アシスタントを務めていた。

リード氏は、バイデン氏が1993年に連邦議会議事堂の廊下で彼女を壁に押し付け、シャツやスカートの下に手を入れ、性器に自分の指を挿入したと主張している。

リード氏は今年3月、「そうしながらあの人がまず、『どこか別の場所に行きたい?』と言ったのを覚えている。私が離れると、『おい、なんだよ。僕のことが好きだって聞いたのに』と言われた」と、人気司会者のポッドキャストで話していた。「あの言葉は忘れられない」とも言った。

うそ発見器、「彼が付けるなら私も付ける」

今回、公開されたインタビューでリード氏は、これまでより詳細に訴えを描写した。バイデン氏に首にキスをされ、セックスをしたいとわいせつな言葉で言われたと述べた。

バイデン氏に大統領選から撤退してほしいかという質問には、「撤退してくれればいいと思っている。絶対にそうはならないけど、そう思っている。それが私の気持ちだ」と答えた。

また、バイデン氏がこの件についてうそ発見器を付けて意見を述べるなら、自分もそうすると話した。

「バイデン陣営は、すべての女性が安全に発言できる国を作りたいという立場を取っているが、私はその機会に恵まれなかった」

リード氏はさらに、バイデン氏支持者から証拠がないままロシアのスパイだと非難され、殺害予告を受け取ったと話した。

「青いチェックマーク(ソーシャルメディア上での本人認証マーク)のついた代理人たちが私について本当に酷いことを言ったり、酷い言葉を投げつけてくるのは衝撃だ」

「本人は何もしないが、安全を主張する陣営が偽善を行っている証拠がある。安全なんかじゃない」

「私のSNSアカウントはすべてハッキングされて、個人情報が抜かれてしまった。私に不満があるかもしれない人、元恋人や元家主などが私のアカウントを使える可能性が出てきてしまった」

バイデン陣営の反応は?

バイデン氏の選挙事務所でコミュニケーション・ディレクターを務めるケイト・ベディングフィールド氏は、このインタビューが公開された後に声明を発表し、リード氏の話には「一貫性がない」と述べた。

「女性たちの主張は真面目に受け取られなければならない。報復や加害される恐怖を覚えずに、前に進み出て経験を話せるべきだ。私たちにはそれを保証する責任がある」

「一方で、真実を犠牲することがあってはならない。今回の疑惑は事実に反しているというのが真実で、主張を裏付けるために提出されたものも、その誤りを証拠付けている」

バイデン氏は2日に沈黙を破ってMSNBCの朝の番組に出演し、「はっきりと申し上げる。そんなことは一切、まったく起こらなかった」と言明している。

疑惑の進展状況は?

カリフォルニアのサン・ルイス・オビスポ・トリビューンによると、1996年の裁判資料でリード氏の元夫が「リード氏がジョー・バイデン上院議員の事務所で遭遇したセクハラ問題」について言及している。

これが、リード氏の主張を説明している唯一の資料だという。

元夫のセオドア・ドローネン氏は、離婚調停の最中にこのことについてメモを残した。

トリビューンは、そのメモによるとリード氏は最終的に「バイデン氏事務所の人事部長と合意して仕事を辞めた」と報じている。

ドローネン氏は、「この出来事は(リード氏にとって)大きなトラウマとなったのは当然で、その後も影響を受けて傷つきやすくなっている」と書いていたという。

また、リード氏の兄弟や元隣人、元同僚なども、疑惑の出来事があった後にリード氏からバイデン氏に対する非難を聞いている。リード氏の母は、1993年にCNNのテレビ番組に電話し、この件について訴えたという。

米ハリウッドの元映画プロデューサー、ハーヴィー・ワインスティーン受刑者の被害者の弁護人を務めたダグラス・ウィグドー弁護士は、リード氏の弁護人を務めると発表している。

バイデン氏の選挙戦に影響はあるのか

一部の共和党員は、リード氏の疑惑を受け、民主党は保守派の悪事を暴こうとした女性しか守らない偽善者だと主張している。

トランプ大統領は数々の性的加害疑惑を受けているが、これらを否定している。トランプ氏は以前、女性器を「わしづかみにする」などと発言していた。

しかし民主党は共和党に比べ、セクハラ被害者の支援する「#MeToo」運動をより強く支持してきた経緯がある。民主党にとって女性は大きな票田であり、伝統的にも女性は民主党に票を入れる傾向にある。

民主党支持の女性の中には、リード氏の主張を信じるとした上で、トランプ氏よりも「まし」だという理由でバイデン氏に投票するつもりだと話す人もいる。

11月の大統領選は「#MeToo」運動が始まってから初めての大統領選であり、バイデン氏は、「アメリカ精神のための戦い」だとしている。

(英語記事 Biden sex attack accuser calls on him to quit race

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52585688

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