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2020年5月8日

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米司法省は7日、ドナルド・トランプ政権のロシア疑惑捜査で虚偽証言の罪に問われた元大統領補佐官マイケル・フリン被告について、起訴を取り下げると発表した。

フリン被告は、2016年米大統領選にロシアが介入した疑惑をめぐる、ロバート・ムラー特別検察官の捜査で、不法行為をしたとされたトランプ大統領側近の1人。

米陸軍の退役中将のフリン被告は、トランプ政権の発足とともに安全保障問題担当の大統領補佐官に起用された。しかし、トランプ大統領の就任から間もない2017年2月に解任された。

同年、ロシア駐米大使との接触について連邦捜査局(FBI)に虚偽の証言をしたとして訴追され、有罪を認めた。

しかしその後、有罪を認めたことを取り下げると表明していた。

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フリン被告の訴追をめぐっては、トランプ氏や同氏支持者らが批判してきた。

この日の司法省の発表を受け、トランプ氏は「フリン中将にとって、とても喜ばしい」と述べた。

フリン被告は、孫がアメリカへの忠誠の誓いを述べる動画をツイッターに投稿。「そしてすべての人に正義を」と字幕を付けた。

BBCのアンソニー・ザーカー北米担当記者は、トランプ氏はフリン被告の訴追を単独の案件ではなく、トランプ政権を倒そうとする動きの源と位置づけていたと説明。起訴の取り下げを、自らの正当性の証明と受け止めているとした。

マイケル・フリン被告とは

フリン被告はもともと長年の民主党支持者だったが、2016年大統領選でトランプ氏の熱心な支持者となった。トランプ政権発足時には、最初期に起用が決まった幹部の1人だった。

ロシアへの接近や、イラン核合意の見直し、イスラム国(IS)の脅威との戦いなど、両者は多くの点で意見が一致した。

しかし、バラク・オバマ前大統領は、フリン被告の起用に反対していた。

オバマ政権は2014年、国防情報局(DIA)長官だったフリン被告を解任した。職責を果たしていないことと気性の激しさを理由に挙げた。

フリン被告は、イスラム過激派について厳しい現実を語ったことで追放されたと不満を表明していた。


なぜ取り下げ?

司法省は裁判所に提出した書類で、「新たに見つかったり明らかにされたりした情報を含む、すべての事実とこの件をめぐる状況を見直した結果」、起訴の取り下げを進めるとした。この書類については、AP通信が最初に報じた

司法省は、2017年1月の捜査当局によるフリン被告へのインタビューを「不当」とし、「合法的な捜査の原則」に基づいたものではなかったとした。

また、フリン被告が虚偽証言をしたと、合理的な疑いの余地なく証明することができなかったと説明。FBI捜査官らは同被告へのインタビューの後、「偽証に関して確信がもてないと表明していた」とした。

さらに、FBI捜査官に対する虚偽証言を立証するには、「単なるうそ以上のものが必要だ」、「そうした発言が根本的な捜査にとって『重要』だったと示すことも必要だ」とした。

反応は?

トランプ氏は7日、司法省の発表について、ホワイトハウス執務室で記者団から知らされた。

「彼は罪のない男だ」、「大統領を辞めさせようとする動きの中で狙われた」とトランプ氏は述べた。

そして、「多くの人が責任を取るよう願う。やつらはくずだ」と続けた。

元FBI長官で、2017年5月の解任以来、トランプ氏を批判してきたジェイムズ・コーミー氏は、「司法省は道を誤った。だが職員のみなさん、どうか残ってほしい。アメリカはあたな方が必要だ。この国は誠実で有能なリーダーを欲している」とツイートした。

https://twitter.com/Comey/status/1258483360957116417


コーミー氏の解任後にFBI長官代行となり、2018年に追放されたアンドリュー・マケイブ氏は、今回の司法省の決定を「大統領の機嫌取りが目的の純粋に政治的なもの」と表現した。

マケイブ氏はまた、フリン被告が駐米ロシア大使と複数回話をし、ロシア当局の行動に影響を及ぼそうとした「明確な証拠を(FBIは)受け取った」と述べた。

議会下院の司法委員会の委員長を務めたジェリー・ナドラー下院議員(民主党)は、「フリン中将に対する証拠は圧倒的だ」、「大統領の友だちだからといって特別扱いを受けるべきではない」として、司法省の動きを批判した。

背景は?

フリン被告が大統領補佐官を務めたのはわずか23日間だった。トランプ政権発足前に駐米ロシア大使とロシアへの経済制裁の解除について協議し、マイク・ペンス副大統領に虚偽の説明をしていたことが浮上すると、トランプ氏が解任した。

トランプ氏は今年3月、フリン被告への恩赦を検討していると表明していた。

フリン被告は当初、検察への協力に同意していたが、今年1月になって有罪を認めたことを取り下げる意向を示した。

同被告は新たな弁護団とともに、検察官は証拠を開示しなかったなどとして、検察を非難した。

ウィリアム・バー司法長官は今年に入って、連邦検察官ジェフリー・ジェンセン氏に、フリン被告の事件を見直すよう指示していた。

ジェンセン氏は声明で、「適切で正しい道は、訴えを取り下げることだとの結論に達した」と述べた。

司法省の発表の直前に米メディアは、ムラー特別検察官のチームの一員だった検察官ブランドン・ヴァン・グラック氏が、フリン被告の事件の担当から降りたと報じた。理由などの詳細は明らかになっていない。

(英語記事 Charges against ex-Trump adviser dropped

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52585522

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