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2020年5月11日

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イギリスのボリス・ジョンソン首相は10日、新型コロナウイルス対策の移動制限について、今週から「条件付き」で緩和していくと発表した。市民はより多くの時間を屋外で過ごせるようになるという。

ジョンソン首相は、在宅勤務ができない人は職場に戻るべきだとしつつ、できれば公共交通機関の利用は避けるよう求めた。政府はこうした人たちは、11日からの職場復帰を「積極的に奨励」している。

ジョンソン氏は、活動再開を奨励する職種に建設業や製造業を挙げた。事業者には「新型ウイルス感染から身を守る方法」を示したガイダンスが配布されるという。

また、ロックダウン(都市封鎖)措置の緩和スピードを規定した、5段階の新しい警戒システムを導入するとした。

ジョンソン氏は、次の段階として「早ければ6月1日までに」イングランドの一部の小学生が学校に戻れることを希望すると述べた。

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制限緩和は「科学に基づいて判断」

国民に向けた演説の中で、ジョンソン氏は、緩和の第1段階には店舗の営業再開も含まれるだろうと述べた。一方で、こういった緩和は、感染抑制の実現が科学的に示されている場合にのみ、実施するものだと念を押した。

緩和の第2段階では、「数字の裏付けがあれば」一部の接客業やほかの公共の場が再開される。しかし7月1日より早い時点では再開されない。

ジョンソン氏は、これらの緩和は「社会活動の再開にむけたロードマップの初期案」の一部だと述べた。

また、「今週はまだロックダウンを終了する時ではない。その代わりに、我々は制限措置の修正にむけた第1段階を慎重に進めている」と付け加えた。

ジョンソン氏は制限の緩和について、「今後2カ月の間、我々は単なる希望や経済的な必要性では動かない」、「科学やデータ、公衆衛生を鑑みて判断していく」と述べた。

「こうした緩和はすべて条件付きのものだ。すべては一連の条件次第だと、改めて強調しておく」

ロックダウン措置違反への罰金額は、引き上げらる方針という。

社会的距離は継続

イングランドのロックダウン緩和に関する詳細は、11日に発表されるガイダンスで明らかになる見通し。

政府関係者はBBCに対し、新ガイダンスでは、他人と2メートルの距離を保つことを条件に、自分の世帯以外の人1人と公園で会うことが認められると明かした。また、現地で社会的距離を守ることを条件に、イングランドでは公園やビーチまで車で移動することも可能になるという。

一方で12週間の自主隔離を求められている感染リスクの高い人については、規定の変更はない。

ジョンソン氏は、ロックダウンをさらに緩和するかどうかを判断する上で、ウイルス感染者1人が次に何人に感染させるかを示す「実効再生産数」を意味する「R」が重要だと説明した。

専門家たちは「R」を1未満(感染者1人が他人にうつす人数が1人未満)に保つことが優先事項だとしている。

ジョンソン氏は、「助言に従い、社会的距離を守り、Rを低く維持できるかは我々全員に、この国全体にかかっている」と述べた。

BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、新型ウイルスの感染拡大は抑制され始めているものの、ジョンソン首相による慎重な発表は「明らかに(社会活動再開への)扉を劇的に開くものではなかった」と指摘する。

今回の緩和では、公園での運動や日光浴のために何度でも外出できるようになる。また、イングランドでは車での移動も認められる。

空路入国者を14日間隔離へ

ジョンソン氏は、国外(アイルランドを除く)から空路でイギリスに入国する人に間もなく自主隔離を強制することになると、「通知する」と述べた。

ジョンソン氏とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、その後の共同声明で、「現段階では」入国者の隔離措置はフランスとイギリス間には適用されないことで合意したと明かした。

「明瞭さと民意」を欠いた演説

最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、ジョンソン首相の演説は「疑問に答えたと同じくらい、新しい疑問を生み出した」とBBCに話した。

スターマー党首は、在宅勤務ができない人は実質的に、「今から12時間後に出勤せよ、ただし公共交通機関は使うな」と言われたに等しいと指摘。首相のメッセージはあいまいで、混乱を招くものだと批判した。

自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首代行は、「みんなして必死にがんばってきたことを危険にさらすことになる」として、政府がこの段階でメッセージを変更した理由が理解できないと述べた。

ジョンソン氏は演説の中で、「与野党の違いを超え、国内の4地域すべてにわたって」助言を求めたと明かし、自分の計画は「何が可能かについての全般的な合意」を集約したものだと述べた。

しかし、英スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相は、ジョンソン氏は演説で触れた変更点のほとんどがイングランドにのみ適用されることを、「もっと強く」強調すべきだったと思うと述べた。

「自宅にとどまろう」から「警戒を続けよう」へ

ジョンソン氏は演説に先立ち、イングランドで「警戒を続け、ウイルスを制御し、命を救おう」という、新しいメッセージをツイッターなどで発信した。これについてスタージョン氏は、今のところスコットランドには適用されていないと指摘した。

北アイルランド自治政府は、11日にも「経済回復にむけた段階的で戦略的アプローチを検討する」としている。

ウェールズ自治政府の保健相もまた、「警戒を続けよう」というメッセージについて、「4地域の合意」はなかったとし、ウェールズでの「家にとどまろう」という助言に変更はないと述べた。

スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにはそれぞれ、個別のロックダウン措置を講じる権限がある。政府は4地域一丸となって進めたいとしている中、各地域がばらばらのスピードで対応していく可能性がある。

政府が以前発表していたガイダンスでは、イングランドの住民は運動のために1日に1回の外出が認められていた。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、イギリスの死者は3万1900人を超えている。英保健省によると、9日に269人の死亡が確認されたという。死者数の報告に時間がかかるため、週末に確認される人数は少なくなる傾向がある。


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(英語記事 PM unveils 'conditional plan' to reopen society

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52612478

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