BBC News

2020年5月11日

»著者プロフィール

新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)の一部緩和を進めるドイツで、緩和開始からわずか数日で感染者数が増加していることが明らかになった。

ドイツのロベルト・コッホ研究所(RKI)によると、ウイルス感染者1人が次に何人に感染させるかを示す「実効再生産数」が、現在は1を超えているという。つまり、ドイツ国内で感染者数が増加していることを意味している。

この「実効再生産数」は、私たちの行動変容や免疫力の向上に応じて変動する。

9日、ロックダウンの完全解除を求める数千人ものドイツ市民が全国各地でデモを行った。こうした中で今回の報告書が発表された。

<関連記事>

アンゲラ・メルケル首相は6日、同国の全16州トップとの協議後、新型ウイルスの感染拡大を鈍化させるという目標が達成されたとして、ロックダウンを段階的に緩和していくと発表した。

すべての店舗が再開され、学校も段階的に再開される。ドイツのサッカー・ブンデスリーガの試合は今月15日から無観客で行われる予定。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間11日午後1時時点で、ドイツは感染が確認された人の数が17万1800人超と、世界で7番目に多い。同国ではこれまでに7500人以上の死亡が確認されている。

報告書の内容

「実効再生産数」は、アウトブレイク(世界的流行)の状況分析で重要な3つの測定方法の1つ。ほかには症状の重症度と感染者数がある。

RKIが9日に公表した報告書によると、実行再生産数は1.1と推計されていた。しかし、翌10日の更新では、1.13に増えた。実行再生産数は過去3週間、ほとんど1を下回っていた。

RKIは、この推計には「不確定度」が含まれており、今後数日間は数値を注意深く観察しなければならないだろうとしている。

また、「過去数週間の間にみられた感染者数の減少傾向が今後も続くのか、あるいは再び増加するのか」は、まだ評価できないと付け加えた。

「効果的な措置」緩和に批判

ドイツはアウトブレイクをめぐる対応を称賛されてきた。同国は大規模なウイルス検査や効果的なロックダウン措置を講じ、ほかの欧州諸国よりも死者数をはるかに少なく抑え込むことにつなげている。

しかし、こうした措置を緩和するというメルケル首相の判断をめぐっては、一部から批判の声が上がっている。

メルケル首相は、新たな感染者数が7日間で10万人あたり50人を超えた場合に、当該地域の当局に再び制限を課すことを義務づける「緊急ブレーキ」を用意している。

ノルトライン・ヴェストファーレン州やシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の食肉加工工場で発生したアウトブレイクでは、すでにこの基準を上回っており、地元当局が対応を余儀なくされたと報じられている。

テューリンゲン州のある地区では、10万人あたり80人以上の感染者が出ていると報じられている。介護施設でのアウトブレイクが原因だとみられている。

各地でロックダウン解除を求めるデモ

ドイツではあまりに早期の制限緩和を心配している人がいる一方で、継続的なロックダウンに抗議する人もいる。

ここ数週間は一部の人が路上で抗議していたが、9日になってこうした抗議デモは、ベルリンやフランクフルト、ミュンヘン、シュトゥットガルトなどで数千人規模にまで膨れ上がった。

ベルリンでは9日、社会的距離措置に従わなかったとして、国会議事堂周辺で約30人が逮捕された。当局によると、デモ隊は警察に瓶を投げつけたという。

複数の右翼団体や陰謀論者たちも一部のデモに加わった。

ドイツではレストランやホテル、プロサッカーなど、感染リスクが最も高い場所が一部再開されつつある。

そのため、ドイツ政府は、今回の報告書が感染の増加傾向を示しているのか注視していくことになるだろうと、デイミアン・マクギネスBBCベルリン特派員は指摘する。

そして、新型ウイルスがより急速に拡大した場合には、一部の制限が再び課される可能性があるとしている。


新型コロナウイルス特集

感染対策

在宅勤務・隔離生活

(英語記事 Infection rate rises in Germany as lockdown eases

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52612945

関連記事

新着記事

»もっと見る