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2020年5月20日

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中国・陝西省西安で18日、32年前に誘拐された息子とその両親が再会を果たした。

1988年、当時2歳だった毛寅さんは父親と保育園から帰宅する途中で誘拐された。父親が息子に水を飲ませようとしばし立ち止まった間の出来事だった。

両親は国中で息子を探した。母親は10万枚以上のチラシを配ったという。

親子は18日、警察の記者会見で再会を果たした。34歳になった寅さんは、両親と一緒に過ごすつもりだと明かした。

母親の李静芝さんは、私たちを助けてくれた何万人もの人たちに感謝したい」と述べた。

寅さんに何があったのか

誘拐された寅さんは、1986年2月23日生まれ。寅さんが発見される前の今年1月、母親は香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストのインタビューで、寅さんのことを「とても賢くてかわいい、健康な」赤ちゃんだったと述べていた。

1988年10月17日、父親の毛振平さんは、西安の保育園から寅さんを連れて帰ろうとしていた。

寅さんから水が飲みたいといわれ、ホテルの入り口で立ち止まった。お湯を冷ますために一瞬目を離した隙に寅さんは連れ去られた。

家族は西安市内や周辺を探し、呼びかけのポスターを貼った。

息子を探すために母親は仕事を辞め、10以上の省や市町村で10万枚ものチラシを配ったが、発見には至らなかった。

母親は何年にもわたって多数の中国のテレビ番組に出演し、協力を呼びかけた。サウスチャイナ・モーニングポストによると、母親は300件もの手がかりを追跡したが、息子に結びつくものはなかった。

2007年、母親は行方不明の子供を捜すほかの親を支援するため、団体「ベイビー・カムバック・ホーム」でボランティア活動を始めた。

国営メディアによると、母親は寅さんが見つからない中、これまでに29人の子供とその家族の再会に尽力してきた。今後も同団体との連携を続けていくつもりという。

どうやって寅さんを見つけたのか

今年4月、警察が西安から約1000キロ離れた南西部四川省のある男性について情報提供を受けたと、国営メディアが伝えた。この男性が何年も前に赤ちゃんを養子として迎え入れていたというものだった。

警察は、現在34歳になった養子男性を発見。DNA鑑定で寅さん本人と確認した。寅さんは別の名前をつけられ、育てられていた。

現在は家の装飾事業を営む寅さんは、将来のことは「わからない」としつつ、両親と一緒の時間を過ごしたいとしている。

警察によると、寅さんは6000元(現在の約9万円)で子供のいないカップルに売られていたという。

母親は、5月10日の母の日に寅さん発見の知らせを受けた。「これまでにもらった中で最高の贈り物」だと母親は述べた。

1988年の失踪事件の捜査は現在も続いている。当局は寅さんを育てたカップルについて情報を公開していない。

中国の児童売買の実態は

中国では数十年にわたり、赤ちゃんの誘拐や人身売買が問題となっている。

公式データはないものの、「ベイビー・カムバック・ホーム」のウェブサイトには、行方不明の男児を探す投稿が1万4893件、行方不明の女児を探す投稿が7411件寄せられている。

2015年、同団体は中国国内で年間約2万人の子供が誘拐されていると推計した。

同国公安部は2009年、DNAデータベースを立ち上げた。以降、6000人以上もの行方不明の子供の発見に役立ってきた。

2016年5月には、公安部は「再会」と名付けたシステムを立ち上げ、2019年6月までに4000人以上の子供が家族を発見することにつながった。

(英語記事 Parents find son abducted in hotel 32 years ago

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52733844

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