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2020年5月22日

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リチャード・ガルピン、BBCニュース

新型コロナウイルスの重症患者の最大30%に危険な血栓がみられると、医療専門家らが指摘している。

専門家らによると、血栓が新型ウイルスによる死者数に影響している可能性があるという。

血栓がつくられるのは、新型ウイルスに対する自然な反応として、肺が炎症を起こすためだ。

世界各地の患者らが、新型ウイルスによる数々の合併症の影響を受けている。中には命取りとなる場合もある。

医師たちは3月、世界で新型ウイルス感染が広がる中、入院患者の間で通常より高い比率で血栓が見られることに気づいた。

新型ウイルスの流行は、脚部にみられることが多い深部静脈血栓症の増加をもたらした。できた血栓の一部が肺に入ると、血管が詰まり、生命が脅かされることもある。

「かなり危ないと言われた」

芸術家ブライアン・マクルアーさんは先月、コロナウイルスによる肺炎の症状が出て、病院に緊急搬送された。到着後すぐにスキャン検査を受けると、より深刻な生命上の問題が浮かび上がった。

「肺の検査を受けると、肺に血栓が見つかった。かなり危ないと言われた」と彼は言った。

「本当に心配になり始めたのはその時だった。改善しなければ深刻な問題になると悟った」

彼は現在、自宅で療養している。


「ここ数週間で大量のデータがどっと出て、血栓が重大な問題だということがはっきりしたと思う」と、ロンドンのキングス・コレッジ病院で血栓症と止血について教えるルーペン・アリア教授は言う。

「特に深刻な影響を受けて救命救急病棟にいるCOVID患者については、最近の研究で半数近くに、肺塞栓か肺の血栓が見つかっている」

アリア氏は、血栓ができて重症となったコロナウイルス患者の人数は、欧州で公表されている数値より最大30%多いと考えている。

アリア氏の血液研究チームは、患者から採取した検体を分析してきた。それらの検体は、コロナウイルスがどのようにして血液をどろどろにするかを示している。どろどろの血液は血栓を生む。

この血液の変化は、新型ウイルスに対する自然な人体反応である、肺の炎症が生み出している。

「重症患者では血液中に化学物質が大量に出ていることが確認できる。そしてこれが、血栓を増やす連鎖反応を生む」とアリア氏は言う。

これらがついには、患者の体調を衰えさせる。

血栓症が専門のビヴァリー・ハント教授によると、どろどろの血液は血栓を超えた影響がある。脳卒中や心臓発作の確率を高めるという。

「それにどろどろの血液は高い死亡率にもつながる」とハント氏は言う。


抗凝血剤の試験

これらの医療的な難問に加え、血栓の治療に現在使われている抗凝血剤は必ずしも有効ではないことを示す研究結果がある。とはいえ、使用量を大幅に増やせば、命取りとなりかねない大出血の危険性を高める。

血栓症治療と出血リスクのバランスは「危ういものだ」とアリア氏は言う。

ただ現在、世界中の医療チームが協力し、新型ウイルスによる血栓の問題に取り組むうえで最も安全かつ効果的な方法を見つけることへの要求が高まっている。

抗凝血剤を各国で使えるようにしようと、標準的な用量を探る試験が進められている。

しかし、別の解決法があると考える専門家もいる。問題の根本であるどろどろの血液をつくる、肺の急性炎症を沈静させる方法を見つけるというものだ。


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(英語記事 Third of patients develop dangerous blood clots

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52752565

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