BBC News

2020年6月6日

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米ワシントンのミュリエル・バウザー市長は5日、ホワイトハウス近くの交差点の名称を、黒人に対する警察暴力に抗議するスローガン「Black Lives Matter」プラザに変更した。抗議の鎮静のために軍の投入を示唆するドナルド・トランプ米大統領への反発を示したかたちだ。

バウザー市長(民主党)はこの日、2区画にわたって「Black Lives Matter」と黄色くペイントされたホワイトハウスに続く通りを公開した。

また、交差点の新名称「Black Lives Matter」プラザの標識を設置する様子をツイッターに投稿した。

「ホワイトハウス前の16thストリートの交差点が、正式に『Black Lives Matterプラザ』になった」

https://twitter.com/mayorbowser/status/1268928589975695361?s=11


「Black Lives Matter」は、2013年から2014年にかけて、アメリカの黒人に対する差別や暴力に抗議する運動の合言葉となり、2014年8月に南部ミズーリ州ファーガソンで18歳の黒人男性が白人警官に射殺されたのを機に、全国的な抗議運動と共に広がった。「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められている。

連邦軍の排除を要求

全米各地では、白人警官に首を圧迫されて黒人男性が死亡した事件をめぐる抗議デモが起きている。その多くは平和的に行われているが、一部で暴力的になり暴動となっている。

トランプ氏が抗議者の排除のために軍の投入も辞さない姿勢を示したことに、バウザー市長やニューヨークのビル・デブラシオ市長らが反発している。

バウザー市長は4日、トランプ氏に宛てた書簡で、連邦軍をワシントンから排除するよう要求。5日朝の時点で同市の外出禁止令は解除されており、今も続く平和的な抗議デモには市警が対処するとした。

「連邦執行機関の人員や装備の導入は抗議者を扇動している。ほとんどの抗議者は、黒人アメリカ人を殺害している、壊れた人種差別的な国の制度が変わるよう、平和的に抗議して改革を求めているが、連邦人員の投入によって、この人たちの不満は募るばかりだ」

市長はさらに、連邦軍兵士が身分証明書を身につけていないことが、「指揮系統」外での活動につながっていると批判。「法の執行機関はアメリカ市民の権利を守るために存在すべきで、権利を制限するために存在するべきではない」とした。

ワシントンでは今週末、さらに多くの抗議デモが予想されている。

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ワシントンで先週1週間に行われた抗議デモに、トランプ政権は強硬姿勢を示している。

トランプ氏は、国土安全保障省や連邦捜査局(FBI)、移民・関税執行局(ICE)、陸軍、州兵など様々な連邦組織から、兵士数千人をワシントンに配備した。

連邦公園警察などは1日、ホワイトハウス前の公園周辺で抗議していた人たちを催涙ガスやゴム弾などで排除した。これは、直後にトランプ氏が公園を徒歩で通過し、ホワイトハウス近くのセントジョン米聖公会教会の前で聖書を持って写真撮影できるようにするためのものだった。

抗議者を排除したのがワシントン市直轄のワシントン市警ではなく、連邦政府に属する公園警察だったことから、バウザー市長は「恥ずべき行為だ!」と怒りのツイートをした。

「私は午後7時からの外出禁止令を発出した。外出禁止令を出すちょうど25分前に、一方的に、連邦警察がホワイトハウス前にいた平和的な抗議者に対して弾薬を使用した。こうした行為によってワシントン市警の任務遂行がより難しくなる」

5日に「Black Lives Matter」プラザと改名された交差点は、セントジョン米聖公会教会前に位置する。

バウザー市長は、「ワシントン市民として、アメリカでは平和的に集まり、政府に対して不平を訴え、変化を要求できることを示すために、我々は皆、ここで平和的に共生したいだけだ」と述べた。

さらに、鮮やかな黄色で「Black Lives Matter」と大きくペイントされたホワイトハウス前の通りの動画をツイートした。「まだまだ時間はかかるが、変化が訪れると私は確信している」。

https://twitter.com/MayorBowser/status/1269048690678870016

バウザー市長の首席補佐官、ジョン・ファルシキオ氏は、「今週、この通りが誰のものなのかといった論争が起きた」とツイート。「バウザー市長は、これはワシントンの通りであると十分に明らかにし、1日夜に平和的に抗議していた人々を称賛したかったのだ」と書いた。

しかし、Black Lives Matterグローバル・ネットワークのワシントン支部は、バウザー市長の行為を「我々の要求を無視しながら白人のリベラル派をなだめる」方法だと酷評した。

ワシントンには白人よりも多くの黒人が暮らしているが、黒人世帯とと白人世帯の経済格差が全米でも最も大きいエリアの1つ。

トランプ氏はツイッターで、バウザー市長が連邦州兵を「きちんと」もてなさないなら、「別の男女の一団を投入」すると警告した。しかし、その一団が誰を指しているのかは不明だ。

(英語記事 Defiant DC mayor names plaza 'Black Lives Matter'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52946012

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