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2020年6月7日

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米黒人男性ジョージ・フロイド氏が白人警官の暴行で死亡してから各地で続く平和的抗議は6日、12日目に入り、ホワイトハウス周辺でも数万人が人種差別や警察暴力に抗議して、平和的に行進した。NFL(米ナショナル・フットボール・リーグ)のコミッショナーはこれに先立ち、NFLがこれまで人種差別や警察暴力に抗議する選手たちを支持しなかったことを謝罪し、方針転換する姿勢を示した。

警備部隊がホワイトハウスへの接近を阻止する中、多くの抗議者が連邦議事堂、リンカーン記念堂、ホワイトハウス前のラフィエット公園などへ向かった。「Black Lives Matter」と書かれたプラカードなどを掲げた人たちは、ラフィエット公園の外で、新しく「Black Lives Matterプラザ」と名づけられた交差点周辺に集まった。

「Black Lives Matter」という表現は、2013年から2014年にかけて、アメリカの黒人に対する差別や暴力に抗議する運動の合言葉となり、2014年8月に南部ミズーリ州ファーガソンで18歳の黒人男性が白人警官に射殺されたのを機に、全国的な抗議運動と共に広がった。「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められている。

首都ワシントンのミュリエル・バウザー市長は、大規模な抗議を歓迎。集まった人たちは、ドナルド・トランプ米大統領にメッセージを発したことになると述べた。ホワイトハウス周辺では1日、トランプ大統領が近くの教会前で写真撮影ができるよう、ラフィエット公園とその周辺で連邦公園警察などが催涙ガスを使い、平和的な抗議集会を排除していた。これにバウザー市長は強く反発していた。

フロイド氏が生まれた南部ノースカロライナ州では同日、追悼式が開かれた。生まれた場所に近い教会に棺が横たえられ、数百人が弔問した。ロイ・クーパー州知事は、夜明けから日没まで、フロイド氏のため半旗を掲げるよう命じた。

抗議運動は海外にも広がり、英ロンドンでは「Black Lives Matter」運動を支持する集会が議事堂前で開かれた。英政府は、新型コロナウイルスの感染拡大の恐れがあるとして、大規模集会への参加を控えるよう呼びかけている。

オーストラリアでも、政府のロックダウン(都市封鎖)命令をよそに、シドニー、メルボルン、ブリスベンなどで数万人が集まり、主にオーストラリア先住民への差別に抗議した。

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武器を持っていなかったフロイド氏は5月25日、米中西部ミネアポリスで白人警官に取り押さえられ、死亡した。現場で通行人が撮影した動画では、デレック・チョーヴィン被告(罷免、殺人罪などで起訴)がフロイド氏の首を自分の膝で9分近く押さえつける様子が映っていた。「息ができない!」と叫んでいたフロイド氏が反応しなくなり、周囲の人たちが「死んでしまう!」「息をしてない!」と怒鳴っても、被告は押さえつけるのをやめなかった。

チョーヴィン被告と共に現場にいた他の警官3人も罷免され、殺人ほう助などで起訴された。


フロイドさん暴行死事件の時系列


ワシントン市長は大統領に反発

ワシントンで続く抗議デモに、トランプ政権は強硬姿勢を示している。

トランプ氏は、国土安全保障省や連邦捜査局(FBI)、移民・関税執行局(ICE)、陸軍、州兵、公園警察など様々な連邦組織から、兵士数千人をワシントンに配備した。

ワシントンのバウザー市長はこれに強く反発し、「大統領がワシントン・コロンビア特別区を占拠できるなら、どの州もそうできる。そうなったら誰も安全ではいられない」と批判。「なので今日この街から軍には出ていってもらった」と表明した。

バウザー市長は、州兵や連邦法執行機関の兵士が市内に展開するのは「不要」だとして、退去を要請した。

「私たちの兵士にそのようなことを命令してはならない。アメリカ市民に対する威力行使など、彼らに求めてはならない。私たちは今日は『だめだ』と言うし、11月には『次』と言う」

抗議に参加した35歳のエリック・ウッドさんはBBCに対して、「ここに来ないなんて余地がないので、ここにいる。人種差別はもうずっとアメリカの一部だ」と話した。

クリスタル・バリンジャーさん(46)は、「今回の抗議はこれまでと何かが違う気がする(中略)連帯と平等を求めるメッセージが広まっていると思いたい」と述べた。

現場で取材するBBCのヘリエ・チュン記者によると、抗議には色々な人種の人たちが集まり、家族連れも大勢いた。音楽が鳴らされ、水や除菌ジェルが配られるなか、「ジョージ・フロイド」、「ブリオナ・テイラー」、「正義がなければ平和もない」などのシュプレヒコールが続いた。

集まった人たちは、ホワイトハウス前のペンシルヴェニア通りを行進したり、連帯を示すため地面に片膝を着いたりしたという。

白人がどうやって支援すべきかという内容のプラカードも多く見られ、「私にはいつまでも理解できないかもしれないけど、それでも皆さんと一緒に立ちます」と書かれていた。

NFLが謝罪

ニューヨーク州バッファローでは、警察に抗議する75歳の白人男性を突き飛ばして重傷を負わせた警官2人が、第2級暴行罪で訴追された。後ろ向きに倒れて路面で後頭部を打った男性は、その場で出血。重体だが容体は安定しているという。警官2人は無罪を主張し、保釈保証金なしで保釈された。

ミネアポリス市とミネソタ州人権局は6日、警察が逮捕時に容疑者の首を圧迫したり締め上げるのを禁止することで合意した。

シアトル市長は、抗議者への催涙ガス使用を禁止した。コロラド州デンヴァーの連邦地裁は警察に対し、催涙ガスやプラスチック弾の使用を禁止した。

5日には、NFL(米ナショナル・フットボール・リーグ)のコミッショナーが、NFLがこれまで人種差別や警察暴力に抗議する選手たちを支持しなかったことを謝罪した。コミッショナーのロジャー・グッデル氏はツイッターで、「かつて私たちがNFL選手の言葉を聞かなかったのは間違っていた。我々は、全ての人が発言し平和的に抗議することを応援します」と述べた。

NFLでは2016年にコリン・キャパニック選手が中心になり、国歌斉唱中に起立せず、片膝をつくことで、国内の人種差別や警察暴力に抗議した。しかし、NFLや各チーム・オーナーたちからの反発が強く、2018年には国歌斉唱中に膝をつくことを選手やチーム関係者に禁止。キャパニック氏をはじめ多くの選手が出場できなくなった。

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抗議者の要求は

全国各地の抗議は警察暴力をやめるよう求めるほかに、アメリカ社会に組み込まれた制度的な人種差別と不平等を是正するよう求めている。

何度も繰り返される警察暴力でアフリカ系市民が相次ぎ死亡するのは、刑事司法から医療に至る社会の隅々にはびこる体制的な差別の表れだという主張だ。

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全米黒人地位向上協会(NAACP)によると、アメリカの黒人は白人に比べて5倍の確率で刑務所に収監される。違法薬物を使う割合は白人も黒人も同じだが、黒人が有罪になる割合は白人の6倍だという。

医療統計によると、妊婦が出産時に死亡する確率は黒人が白人の2倍。何十年にもわたる人種隔離政策の結果、学校や住宅や様々な公共設備の利用についても不平等が根強く続いている。

米ピュー研究所の2019年調査によると、アフリカ系の成人10人のうち8人が、奴隷制の負の遺産が今も黒人アメリカ人の地位に影響していると答えた。アメリカでいつか真の人種平等が実現するかという質問には、半数が実現しないだろうと答えている。

デモ参加者のカイラ・バージェスさんはBBCの取材に、「この国の仕組みはもう300年以上も、私を裏切り続けてきた。それを変えるため、私はどうすればいいのか」と話した。


(英語記事 George Floyd: Thousands protest against racism across US / NFL says players' protests during national anthem should be allowed

提供元:https://www.bbc.com/japanese/52952772

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