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2020年7月1日

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アメリカの新型コロナウイルスの新規感染者が1日あたり10万人になっても「驚かない」と、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士が6月30日、米議会上院で述べた。

ファウチ氏は上院委員会の公聴会で、「現時点で制御できていないのは明らかだ」と証言。マスク着用と社会的距離の確保を実行している米国民は、十分な数に達していないと警告した。

また、新規感染者の半数近くがフロリダ、アリゾナ、テキサス、カリフォルニアの4州で確認されていると説明した。

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一方、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事はこの日、同州を訪れる際に2週間の自主隔離を義務付ける米国民の対象を拡大し、16州の住民にすると発表した。米紙USAトゥデイの分析では、米国民の48%が該当する。

新たに追加されたのは、アラバマ、アーカンソー、アリゾナ、フロリダ、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テキサス、ユタの8州。

アメリカでは6月30日、新規感染者が前日から4万人以上増えた。この規模の増加がみられるのは、過去5日間で4日目となった。


米CNNによると、西部と南部の州を中心に起きている感染の急増で、少なくとも16州が経済活動などの再開計画を停止か逆戻りさせた。

いくつかの州にとっては、再開から1カ月以上がたってからの転換となる。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、アメリカで確認された新型ウイルスの累計感染者は262万9372人、死者は12万7322人に上っている(日本時間1日午前時点)。

極端な傾向を非難

ファウチ氏がこの日出席したのは、学校と経済の再開を検討する上院委員会の公聴会。同氏は各州が再開の条件となっている基準を無視しており、結果的に感染者が増えていると批判した。

エリザベス・ウォーレン議員の質問には、「正確な予測はできないが、非常に心配すべき事態になるだろう。それは保証する」と答えた。

また、「国の一部で大流行が起これば、その他の地域が大丈夫でも、やられてしまう」、「急増している地域だけに注力するわけにはいかない。国全体を危機に陥れてしまうからだ」と述べた。


ファウチ氏は政府に対し、すべての国民にマスクを無料配布するよう求めた。同時に、社会的距離を無視する一部の人々による「極端な動き」を非難した。

トランプ氏にマスク着用を要求

公聴会には、疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長も出席。12州で入院件数が増加しており、アリゾナ州では死亡率が上がっていると証言した。

さらに、「(新型ウイルスの感染症)COVID-19の拡大を緩やかにするため、個人が責任ある行動をし、皆が顔を覆うことが大事だ」と述べた。


公聴会の開始前には、委員長を務めるラマー・アレクサンダー議員(共和党)が、ドナルド・トランプ大統領に対してマスク着用を求めた。トランプ氏は公の場でマスクを着けていない。

アレクサンダー氏は、「悲しいことに、命を救うこの単純な行動が政治議論の一部となってしまった」、「トランプ支持ならマスクは着けないし、反トランプなら着ける」と発言。

「場合によってはマスクを着用するよう、大統領に勧める」、「大統領には、言うことを聞くファンがたくさんいる」と述べた。

集団免疫は困難か

アメリカでの新規感染者の急増をめぐっては、CDCのアン・シューカット所長代行が6月29日、感染拡大を抑えた他国と比較してアメリカの対策は不十分だと、米医学誌のインタビューで述べた。

「国全体に『さあ夏だ。すべてうまくいく。もう乗り越えた』といった楽観があったと思う。しかし実際は、乗り越え始めてすらいない。ここ1~2週間で心配要素が数多くみられている」

一方、ファウチ氏は同日、アメリカで新型ウイルスの集団免疫を獲得できる公算は小さいとの見方を示した。同氏は以前、2021年初期には集団免疫を獲得できると予想していた。

理由としてファウチ氏は、ワクチンが部分的な効果しかもたない可能性があることと、多くの米国民がワクチン接種を拒否するとみられることを挙げた。

「この国の一部の人々には、反科学、反権威、反ワクチンの感情がある。懸念するほど大きな割合の人々だ」と同氏は述べ、ワクチンへの信頼を高める教育が必要だと訴えた。


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(英語記事 Fauci: US could see '100,000 Covid cases per day'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/53245041

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