BBC News

2020年8月25日

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米ウィスコンシン州ケノーシャで23日夕、警官が黒人男性を背後から複数回銃撃する事件があり、市民数百人による抗議デモが続いている。州知事は24日、「治安」維持のために州兵を動員した。

警官に撃たれたのは、ジェイコブ・ブレイク氏(29)。

ケノーシャの警察によると、「警官が関与した銃撃」は23日午後5時過ぎに発生した。現場にいた警官たちがブレイク氏を「直ちに救護」したとしている。

ブレイク氏は重体で、ミルウォーキーの病院へ搬送された。報道によると、ブレイク氏の容体は安定している。

抗議デモが勃発、州兵を動員

ブレイク氏はケノーシャの路上で車に乗り込もうとした際に、警官から複数回撃たれたという。

その後すぐに抗議デモが勃発。当局は翌24日朝までの緊急の外出禁止令を出した。

さらに24日には、ウィスコンシン州のトニー・エヴァース知事(民主党)が、地元警察の支援のため州兵を招集した。

エヴァース知事は声明で、地元当局の要請を受け、法執行機関が「重要なインフラを守る」のを支援し、市民が安全に抗議デモが行えるようにするため、州兵を「限定的に動員」したと説明した。

「全ての人が、憲法修正第1条が保障する(表現の自由や平和的集会などの)権利を行使して怒りや不満を表し、安全ではないと恐れることなく行動を呼びかけられるべきだ」

新たな夜間外出禁止令は、24日午後8時から25日午前7時まで続く。

「警察の説明責任」に関する法案審議へ

エヴァース知事はまた、以前発表していた、警察の説明責任と透明性に関する法案を審議するため、31日に州議会の特別審議を求めた。

同知事は今年5月に隣のミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性ジョージ・フロイド氏が警官に首を押さえつけられて死亡した事件を受け、この法案を発表していた。

フロイド氏の死はアメリカの警察の残虐行為や人種差別を浮き彫りにし、世界中に抗議デモが広まった。

エヴァース知事は、自分がこの「常識的な政策」を発表してから2カ月もの間、議員たちは「行動を起こしていない」とツイートした。

さらに、「私は議会に対し、この事態に立ち向かうこと。そして、この瞬間に求められている、ウィスコンシン州の人々にふさわしい緊急かつ有効な取り組みを、特別審議で実現することを促している」と書いた

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ケノーシャの最新状況は

複数報道によると、24日中に最大200人の州兵が配備される。

一部のデモ参加者は、銃撃に関与した警官たちの逮捕を要求。ケノーシャの治安当局の建物に押し入ろうとし、ドアの蝶番(ちょうつがい)が破損した。機動隊がデモ参加者をペッパースプレーで追い払った。

その後、夜間外出禁止令が出される中、郡裁判所で衝突が起きた。一部のデモ参加者は裁判所の外にいた機動隊に物を投げつけた。

銃撃事件が起きた後の23日夜、数百人が警察本部にむかって行進し、事件に抗議した。また、複数の車両が燃やされた。

警官が催涙ガスを使って追い払おうとする中、デモ隊は「我々は引き下がらない」と叫んだ。

銃撃事件で何があったのか

ソーシャルメディアでシェアされた動画では、3人の警官が駐車中のスポーツ多目的車(SUV)の周りを歩くブレイク氏に、武器を向けているのがわかる。ブレイク氏が車のドアを開けて乗り込もうとすると、警官の1人がブレイク氏のシャツをつかんで発砲した。動画では、目撃者たちが叫び声を上げる中、7回の銃声が確認できる。

警察は、「家庭内トラブル」に対応するため警官たちが現場へ駆けつけたと説明したものの、何が銃撃につながったのか詳細は明かさなかった。これまでのところ、通報した人物や、動画が撮影される前に起きていた事は明らかになっていない。

公民権専門弁護士のベン・クランプ氏は、ブレイク氏の家族の弁護人を務めていると発表。ツイッターでの声明で、3人の子どもの父親のブレイク氏は当時、「家庭内トラブルを鎮めようとしていた」と述べた。

クランプ氏は現場にいた警官たちの「無責任で見境のない非人道的な行為のせいで、単純に正しいことをしようとしていた男性が命を失いかけた」とした。

ウィスコンシン州司法省は現在、この事件を調査している。関与した警官たちは休職扱いとなった。警官の訴追を求める請願書には、数万人もの署名が集っている。

米大統領選の野党・民主党候補のジョー・バイデン前副大統領は24日、銃撃事件の「完全かつ透明性のある調査」を求める声明を発表した。

エヴァース州知事も銃撃事件を非難し、「我々の州や国の法執行機関職員の手によって銃で撃たれたり、負傷したり、あるいは容赦なく殺されたりした黒人は」、ブレイク氏が「初めてではない」と述べた。

しかしエヴァース氏は事件への対応をめぐり、批判に直面している。ケノーシャの警察組合トップのピート・ディーツ氏は、エヴァース氏の声明は「全く無責任」なものであり、市民は全ての事実が明らかになるまで待つべきだと述べた。

(英語記事 National Guard deployed after US police shooting

提供元:https://www.bbc.com/japanese/53899492

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