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2020年9月2日

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フランスの風刺週刊紙「シャルリ・エブド」は2日付の紙面に、2015年の編集部襲撃事件につながったイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を再掲載した。2日に同事件の裁判が始まるのに合わせたという。

2015年1月7日に起きた襲撃事件では、パリにあるシャルリ・エブドの社屋内でイスラム教徒の襲撃犯2人が銃を乱射。有名漫画家ら12人が死亡した。さらに後日、関連した襲撃事件がパリで発生し、5人が亡くなった。

2日に始まる裁判には、銃を乱射した2人を手助けしたとされる14被告が出廷する予定。

フランス各地ではこの事件をきっかけに、聖戦を掲げるストライキが続いた。

最新号の内容

シャルリ・エブドの2日付最新号は1面に、預言者ムハンマドに関する漫画12点を再掲。同紙はこれらを、デンマーク紙に掲載された後に転載し、襲撃事件のきっかけとなった。

そのうちの1点では、ムハンマドがターバンの代わりに爆弾を身に着けている。「Tout ça pour ça」(すべてこのためだ)との見出しが付けられている。

シャルリ・エブドは社説で、襲撃事件後、ムハンマドの風刺画を掲載し続けるよう求める声がたびたび届いていたと説明。

「それを拒み続けてきたのは、禁止されているからではない。法的には可能だ。だが、掲載には十分な理由が必要だった。意義があり、議論のもとを提供するという理由だ」

「2015年1月に起きたテロ襲撃の裁判が始まる週に、これらの漫画を再掲するのは、私たちにとって不可欠に思えた」と主張した。

どんな裁判?

2日に出廷する14被告は、シャルリ・エブド編集部とユダヤ系食料品店、警官1人が襲撃された事件で、武器を入手し、実行犯の移動などを支援した罪に問われている。


うち3被告はシリア北部やイラクに逃亡したとみられており、欠席裁判となる。

仏放送局RFIは、裁判の原告は約200人に上るとみられ、襲撃事件の生存者らが法廷で証言する見通しだと伝えている。

裁判は3月に始まる予定だったが、新型コロナウイルスの流行で延期されていた。11月まで続く予定。

2015年の襲撃事件

2015年1月7日、サイード・クアチ、チェリフ・クアチ兄弟はパリのシャルリ・エブド編集部に押し入り、銃を乱射。ステファン・シャルボニエ編集長と漫画家4人、コラムニスト2人、校閲編集者、会議の来訪者、管理人が死亡した。編集長の警備員と警官も亡くなった。


警察が兄弟を追うなか、パリ東部では兄弟の知り合いのアメディ・クリバリ容疑者がユダヤ系食料品店で数人を人質に立てこもり、警官を殺害。同9日にユダヤ人4人を殺し、こう着状態に陥った末に警官隊に射殺された。

同容疑者は録画ビデオで、イスラム国(IS)の名において襲撃を実行したと話していた。

クアチ兄弟も、後に警察の手で殺されている。

シャルリ・ヘブドが狙われた理由

シャルリ・ヘブドは反体制的な風刺で知られていた。極右主義やキリスト教カトリック、ユダヤ教、イスラム教などを取り上げ、長年議論を呼んでいた。

預言者ムハンマドの風刺画を掲載したことで、編集部に殺害予告が届き、2011年には火炎瓶による襲撃を受けた。

シャルボニエ編集長は、言論の自由を象徴するものとして、風刺画掲載の正当性を強く訴えた。2012年のAP通信の取材には、「イスラム教徒が私たちの漫画を見て笑わなくても、責めることはしない」、「私はフランスの法の下で生活している。コーランの法の下で生活してはいない」と述べていた。

2015年に編集部襲撃事件が発生すると、何千人もが通りでデモを繰り広げ、「#JeSuisCharlie」(私はシャルリ)のハッシュタグが世界中で使われた。

ジェラルド・ビアード編集長は2016年のBBCの取材で、シャルリ・エブドが国際的にシンボルとなったあと、同紙の挑発的で議論を呼ぶ姿勢を批判し、他者の見解や信仰をより尊重するよう求める声が届いていると話した。

(英語記事 Charlie Hebdo republishes Mohammed cartoons

提供元:https://www.bbc.com/japanese/53994504

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