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2020年9月9日

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ベラルーシの首都ミンスクで覆面の男たちに車に押し込まれ、行方不明になった野党指導者マリア・コレスニコワ氏について、同行した同僚らが8日、拉致の状況などを明らかにした。この日朝、隣国ウクライナに追放されそうになり、パスポートを破って抵抗したという。

その後のコレスニコワ氏の行方は、わからないという。ウクライナ政府は8日、同氏を拘束したことを認めた。

コレスニコワ氏は、先月9日の大統領選挙で現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の再選に反対した、著名な女性3人のうちの1人。7日にバン型の車で連れ去られ、行方不明となった。

大統領選ではルカシェンコ氏が当選したが、その結果には疑念が持ち上がっている。ミンスクなどでは、同氏の辞任を求める大規模な抗議デモが発生。治安当局は暴力もふるいながら、多数のデモ参加者らを逮捕している。

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コレスニコワ氏以外の著名な女性2人は、すでにベラルーシを離れている。大統領選で主要対立候補となったスヴェトラーナ・チハノフスカヤ氏は、先月11日にリトアニアに脱出した。


パスポートを破り

コレスニコワ氏の同僚のアントン・ロドネンコフ氏とイワン・クラフツォフ氏は8日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)で記者会見に臨んだ。

ロドネンコフ氏によると、両氏は7日、コレスニコワ氏の自宅に向かう途中に拉致された。建物が並ぶ中を車で移動させられた後、頭にフードをかぶせられ、両手を縛られた状態で尋問されたという。

当局は両氏に、コレスニコワ氏と共にベラルーシを出国するよう要求。従わない場合は訴追すると脅したという。両氏はこれを受け入れた。

8日朝、3人は私服の男たちによってウクライナとの国境地帯に連れて行かれた。

車が国境地帯に着くと、コレスニコワ氏が越境を拒否。パスポートを破り、車の窓から外に投げ捨てたという。

「真の英雄」

「彼女は(車の)後部座席に押し込まれた。どこにも行かないと声を張り上げた」と、ロドネンコフ氏は話した。

「彼女は車から出て、ベラルーシに向かって堂々と歩いた」、「彼女は真の英雄だ。それを理解しなくてはならない。彼女は強い信念をもって行動している」。

一方、クラフツォフ氏は、「当局の関心はマリア・コレスニコワを国外に追い出すことにあった。ベラルーシの状況を沈静化するために必要だと言っていた」と述べた。

コレスニコワ氏は8月、BBCロシア語の取材に、「何が起きているのかを本当に理解するには、ここにいなくてはならない」と話していた。

大統領選を戦ったチハノフスカヤ氏は、コレスニコワ氏の即時解放を要求。「白昼公然と人を拉致するとで、ルカシェンコは弱さと恐怖心を見せつけている」との声明を出した。


もう1人の著名女性活動家、オルガ・コヴァルコワ氏は5日、隣国ポーランドに避難したと発表。投獄の脅迫を受けていたとした。

政府は拘束を認める

一方、ベラルーシ政府は8日、ウクライナに出国しようとしたコレスニコワ氏を拘束したと説明した。

ルカシェンコ大統領はロシアのメディアのインタビューで、コレスニコワ氏について、「越境の規則に違反した」ために拘束されたと述べた。


ルカシェンコ氏はまた、1994年から続く長期政権に「飽き飽きしている」国民もいるかもしれないと発言。しかし、大統領を辞任する考えはないと強調したとされる。

さらに、ベラルーシを「守る」ことができるのは自分しかいないと主張したという。

治安部隊に依存

ルカシェンコ氏は辞任要求デモの最中に2度、銃を手に姿を見せている。逃亡していないことを示すためだと、記者団に語った。

欧米に対してはこれまで、内政干渉だと非難している。欧州連合(EU)は7日、逮捕された市民の釈放をベラルーシ政府に求めた。EUは8月の大統領選の結果を認めておらず、ベラルーシに制裁を科すことを決定している。

リトアニアはルカシェンコ氏について、ロシアとの連携を深める考えだと主張している。ルカシェンコ氏は「近日中に」ロシアを訪問するとみられている。

BBCのサラ・レインズフォード・モスクワ特派員は、反政権の運動が国民の支持を集めるなか、ルカシェンコ氏は治安部隊への依存を強めていると分析。

この日のロシアメディアの取材では、もし同氏が辞任すれば治安部隊は「虐殺され、ばらばらにされる」と、メッセージを放ったと解説した。

(英語記事 Belarus politician 'tore up passport' at border

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54082813

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