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2020年9月12日

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イギリスの保健当局は11日、新型コロナウイルス感染者の実効再生産数「R」が、3月以降で初めて「1」を超え、1から1.2の間になったと発表した。高齢者だけでなく、若者の間でも感染が広がっている「気がかりな兆候」がみられるという。ただし、パンデミック初期よりも新型ウイルスの治療法や治験が改善しているため、死者数は以前よりは少なくなるという専門家の見方もある。

実効再生産数を意味する「R」は、ウイルス感染者1人が次に何人に感染させるかを示している。「R>1」、つまり1超になれば、1人の感染者が複数に感染させるため、流行は拡大する。

イギリスではこの日、新たに3539人の感染が確認され、前日から600人増えた。

4月の流行ピーク時に比べればなお少ないが、イングランドで数千人を対象した調査によると、感染者は7~8日で2倍に増えている。

この調査ではまた、イングランド北部を中心に、特に若い世代で感染が広がっていることも明らかになった。

イングランド公衆衛生庁(PHE)のイヴォーン・ドイル医療主任は、新規感染例の大半を若年層が占めているものの、「若者よりも重症化リスクの高い高齢者の間に、気がかりな感染拡大の兆しが見え始めている」と指摘した。

PHEの報告書によると、イングランド北西部に住む85歳以上の高齢者の間で感染が「特に急増」しており、入院するケースも増えているという。

一方で、新型ウイルスで現在、入院治療中の人は863人と横ばいで推移しており、うち人工呼吸器が必要な患者は78人にとどまっている

イギリス各地で対策強化

イギリス政府は先に、感染拡大を食い止めるため、週明け14日から屋内外での7人以上の集会を禁止すると発表した。

「6人ルール」と呼ばれるこのルールは当初イングランドが対象だったが、独自の対策を進めているスコットランドやウェールズ、北アイルランドでも実施されることになった。

警察は、制限が始まる前の今週末を「パーティー・ウィークエンド」と位置づけ、あえて遊びに出る人が増えるリスクがかなりあると警告している。

イングランド・ウェールズ警察連盟のジョン・アプター会長は、感染が拡大しているこの時期に集会を開くことは「非常に無責任」だと述べ、必要な場合には罰金を科すことも「いとわない」と話した。

こうした中、イギリス各地で個別の感染対策も進んでいる。

イングランド中部バーミンガムでは、感染増加を受けた新しい制限が始まった。

スコットランド西部では175万人以上が厳しい制限の対象となっているほか、西部ウェールズでも14日から店舗内でのマスク着用が義務付けられる。

一方、6月末以降、制限を強化していたイングランド中部レスターでは、15日から企業に対する要請がイングランドのほかの地域と同水準まで緩和される。

3つのデータから分かること

15万人を対象にインペリアル・コレッジ・ロンドンが主導したイングランドの調査では、8月と9月に「感染が加速」していることが明らかになった。

特にイングランド北西部、北東部およびヨークシャー州で流行拡大がみられた。

年齢別で最も感染者の増加率が高かったのは18~24歳の若年層だったが、65歳までの全ての年齢グループで増加していた。

この調査を主導したポール・エリオット教授は、「新型コロナウイルス感染において気がかりな傾向」が明らかになったと説明。「キーワーカーだけでなく」イングランド全域で感染が急速に広がっていると指摘した。

また、この増加は検査を増やしたことだけで説明できるものではなく、「地域で流行が起きている」証拠があると述べている。

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国家統計局(ONS)によると、イングランドの9月第1週の新規感染数は3万9700件と、前の週より1万1000件多かった。

ONSのデータは、症状のあるなしに関わらず検査を受けた人の検体をベースにしている。

ONSで感染調査を担当しているキャサリン・ケント氏は、このデータからは「イングランドでここ数週間COVID-19患者が増えていること、特に17~34歳の感染率が上昇していることが分かる」と説明した。

さらに、イギリス全土で400万人の健康状態を追跡しているアプリ「COVID Sympotom Study」のデータからは、8月末に新規感染例が増えたことがうかがえる。これは、6月半ばに感染者が急増して以来の傾向だ。

英オックスフォード大学のジェイムズ・ネイスミス教授は、もし1月の時点で現在のような検査体制が整っていれば、若年層の感染は今と同程度だっただろうと指摘した。

「医学的な治療や科学的な知見が大きく改善したため、感染率が3月4月と同じくらい悪化したとしても、死者数は少なくなる」

「今まで以上に多くの人が手を洗い、特に感染リスクの高い人と距離を取ることで、感染者も死者数も減るはずだ」


<分析> イギリス全土への警鐘 ――ジェイムズ・ギャラガー、健康・科学担当編集委員

イギリスは新型コロナウイルスのパンデミックで、新たな段階に入りつつある。

3月下旬に始まったロックダウン(都市封鎖)以降、私たちが決めなくてはならなかったのは、感染者の減少にどう対応するかだった。しかしここに来て、「R」が3月以降で初めて1を超えた。感染が再び拡大していると、様々なデータが裏づけている。

これは、イングランド北西部ボルトンのようなホットスポットだけで流行を抑えれば、それで済むという話ではない。政府顧問の1人は私に、感染拡大はイギリス全土に広まっていると話した。

「R」が「1」を超えたのはイギリス全土への「警鐘」だと政府は言う。すでに、入院するCOVID-19患者が増え始めている兆しもある。

かと言って、またロックダウンへの準備期間に入ったわけではない。感染者は以前よりずっと少ないし、増え方も緩やかだ。

3月下旬のロックダウン前のイギリスの「R」は「3」前後だった。新規感染者は3~4日で2倍に増えていた。現在の状況はこれの約半分だ。

ワクチンが実用化されるまで、新型ウイルスは私たちの前に引き続き大きく立ちはだかる。

冬になればさらに感染者が増えるかもしれないと懸念される中、このウイルスと生活のバランスをどう取っていくか、それが重要な問題だ。


(英語記事 R number above 1 as coronavirus cases rise

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54128432

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