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2020年9月13日

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アメリカの西海岸各州で森林火災が広がる中、オレゴン州のケイト・ブラウン州知事は、オレゴンだけでも数十人が行方不明だと述べた。オレゴン、ワシントン、カリフォルニア各州では3週間前から火事が続いている。

記録的な猛暑と強風にあおられた炎は、450万エーカーの面積(全米省庁合同火災センター調べ)を焼き、多くの住宅を破壊している。死者も少なくとも25人に上る。焼失面積はコネチカット州より大きく、英ウェールズよりわずかに小さい。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューソム州知事は、気候変動が事実かどうかの議論はもう「おしまいだ」と述べた。「これは気候によるとんでもない緊急事態だ。現実のことで、実際に起きている」。

「カリフォルニア州に来ればいい。自分の目で見るといい」と、知事は州北部の焼けこげた山林に立ち、記者団に話した。

ニューソム知事が現場を視察したカリフォルニア州北部のノース・コンプレックス火事は、8月18日から燃え続けている。すでに10人の遺体が発見されたほか、16人が行方不明になっている。カリフォルニア州では8月15日以降、20人が森林火災によって死亡。州内28カ所で大規模な火災が同時進行し、数万人が避難命令を受けている。

各地の大気状況を調べるサイト「IQAir.com」によると、山火事で立ち上る煙の影響で、オレゴン州の最大都市ポートランドの空気の質は現在、世界最悪だという。続いて、火災に近いサンフランシスコとシアトルがワースト上位を占める。

ホワイトハウスのジャッド・ディーア報道官は12日にツイートで、ドナルド・トランプ大統領が週明け14日にもカリフォルニア州を訪問すると書いた。

オレゴンとワシントンでは何が

オレゴン州では16カ所で大規模な火災が続いており、住民4万人に避難命令が出されている。

同州の緊急事態管理事務所によると、火災でこれまでに6人の死亡が確認されているが、実際の死者数ははるかに多い恐れがある。

住民が避難した家屋が盗難被害に遭う懸念もあるものの、ブラウン州知事は11日、「州兵や州警察が状況を警戒し、盗難を防いでいる」と強調し、対象地域の住民は避難するよう強く促した。

住民のベアトリス・ゴメス・ボラノスさん(41)はロイター通信に、家族を車に乗せて避難する際、車の両側で炎が燃え上がっていたと話した。4人の子供に目を閉じるよう言い聞かせて運転したというボラノスさんは、「何もかも失いました。またゼロから再出発です。でも少なくとも命は助かったので」と話したという。

オレゴン州内の火事で特に被害の大きい「アラミダ火事」は、放火の疑いがあるとみられている。

ワシントン州では15カ所で大規模な山火事が同時発生している。9日までに両親と避難しようとしていた1歳の男の子が亡くなり、両親は重体が続いている。



<分析>予見されていた大災害――マット・マグラスBBC環境担当編集委員

大規模な火事がこれほど拡大した理由に、強風などの自然要因もあるものの、山火事がどんどん激しく巨大化する背景には、人間活動による温暖化がある。

記録が残る中で世界の気温が最も高かった10年のうち9年は、2005年以降に起きている。国連は今月に入り、2016年から今年までの5年間が記録をとり始めてから最も暑い5年間になるだろうと警告した。オレゴン州もカリフォルニア州も1900年から平均気温が摂氏1度以上、上昇している。

高い気温が持続しているため、カリフォルニア州で過去最大規模の火災20件のうち6件が今年に入って発生している。オレゴン州では、山火事で年間に失われる面積の倍近くが、すでに先週だけで焼失した。

カリフォルニアでは過去10年間に渇水が続き、そのため何百万本もの木々が枯れ、山火事のたきぎと化している。通常ならもっと涼しく湿度が高いはずの山間部も、夏の間に通常以上に乾燥し、これも山火事の燃料となった。

気候変動の専門家たちは以前から、山火事が規模も数も破壊力も増すことになると予見していた。そして予想よりも早く、予見は実現している。


(英語記事 US wildfires leave dozens missing in Oregon, state governor says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54136067

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