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2020年9月13日

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難民キャンプの火災で1万人以上が生活場所を失ったギリシャ・レスボス島で12日、新たな難民キャンプの建設に抗議する難民と警察が衝突し、警察が催涙ガスを噴射した。

火災当時、モリア・キャンプには収容可能人数(3000人)を大幅に超える約1万3000人が暮らしていた。難民は島を離れることを切望している。

警察と難民の衝突は、ギリシャ当局が設置した仮設キャンプ近くで起きた。警察の封鎖線近くに火が放たれ、消防隊が消火にあたる場面もあった。

難民はモリア・キャンプへ続く道を封鎖する警察に接近し、「自由」を訴えるプラカードを掲げながら新しいキャンプ施設の建設に反対した。

新施設の建設をめぐっては島の住民からも強い反発が上がっており、救援物資の配達を止めようと住民が道路を封鎖している。

現在は生活場所を失った難民のために、同島カラテペに新たなキャンプが設置されている。

警察によると、すでに約200人がこのキャンプに入ったが、施設の外には衛生面と安全面チェックをうけるために数十人が並んでいるという。その大半は家族連れだ。

難民は9日の火災から逃れた後、路上など屋外で夜を明かしている。

モリア・キャンプには約70カ国からの難民が生活していた。そのほとんどはアフガニスタンからの難民だった。

難民問題めぐり欧州が分断

主にイタリアやギリシャへ渡った大量の難民の扱いは、欧州各国を長年にわたって分断させてきた。

欧州中部や東部の多くの国は、難民の受け入れを分担するという考えに公然と抵抗している。

イタリアとギリシャは、裕福な欧州北部の国々がさらなる対応を取らずにいると非難してきた。

難民のために何が行われているのか

ギリシャのノティス・ミタラチ移民相は、新たな難民キャンプで12日から火災で避難場所を失った人たちの一部を受け入れる方針だと述べた。

ドイツは11日、モリアで生活していた身寄りのいない未成年者400人を受け入れることで、欧州10カ国が合意したと発表した。

ホルスト・ゼーホーファー独内相は、モリア・キャンプでの火災が「欧州で何を変えなくてはならないか、私たちに鋭く突きつけた」と述べた。

しかし複数の慈善団体やNGOのグループはドイツ政府に宛てた書簡で、未成年者だけでなく全ての難民が、追加の支援策を必要としていると訴えた。

この公開書簡の中で、同グループは、「モリア・キャンプでの恥ずべき状況や火災による大惨事は、欧州の難民政策の失敗がもたらした必然的な結果だ。今や欧州は、ついに影響を受けた人々を助けなければならない状況に置かれている」とした。

火災について分かっていること

地元警察によると8日夜、モリア・キャンプ内の3カ所以上から出火があり、キャンプがほぼ壊滅状態となった。

同キャンプをめぐっては、火災の数時間前に新型コロナウイルスの検査で35人の陽性者が出たとの報告があった。このうち8人は隔離されていたとみられる。

当局は先週、ソマリアからの難民1人の新型ウイルス感染が確認されたことを受け、施設を隔離状態に置いていた。

ギリシャのミタラチ移民相は、隔離措置が講じられたことを受け、亡命希望者が火をつけたと述べた。感染が確認された人の中には、家族全員での隔離を拒否した者もいたと報じられている。

一方でミタラチ氏は、キャンプの破壊を目的とした意図的な放火だとは明言しなかった。

一部の難民はBBCペルシャ語に対し、モリア・キャンプで難民とギリシャ軍が衝突した後に火災が発生したと証言した。


(英語記事 Migrants tear-gassed in Greek camp protest

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54135721

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