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2020年9月24日

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は23日、11月の大統領選挙で野党・民主党のジョー・バイデン候補に敗北した場合について、平和的に政権を移譲すると明言することを避けた。

トランプ大統領はかねて、新型コロナウイルス流行で需要が高まっている郵便投票が、民主党によって詐欺に使われると主張。選挙結果は最高裁判所まで持ち込まれるだろうとの見解を示している。

この日ホワイトハウスで行われた記者会見では、「何が起きるかそのうち分かるだろう」とだけ答えた。

大統領選まで1カ月半を切ったアメリカでは、新型ウイルスがさらに猛威を振るっており、多くの州が郵便投票を呼びかけている。

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トランプ氏は現在、世論調査でバイデン氏に後れを取っている。

平和的な政権移譲について質問されたトランプ氏は、「私は前々から郵便投票に非常に強く抗議している。郵便投票は大惨事だ」と語った。

その上で、「郵便投票はやめろ。そうすればとても、とても平和的な、いや、正直に言って移譲はない。政権は続行するだろう」と述べた。

2016年の前回大統領選の前も、トランプ氏は投票結果を受け入れると明言するのを避けた。対立候補だったヒラリー・クリントン氏からは、民主主義への攻撃だと批判された。

トランプ氏はその後、大統領選での勝利を宣言したものの、一般投票ではクリントン氏に300万票負けた。この結果について、トランプ氏はなお疑問があると述べている。

民主党はどうとらえている?

クリントン氏は8月、バイデン候補に対し、選挙当日に接戦になった場合には「どんな状況でも」敗北宣言を出すべきではないと助言している。

クリントン氏は、共和党が「不在者投票を台無しに」しようとし、弁護士集団を使って投票結果を裁判に持ち込もうとするだろうと予測している。

一方の保守派は、バイデン候補が「ドナルド・トランプが再選したらアメリカから暴力が減るなんて誰が信じるのか」と発言したことについて、選挙結果に対する不安をあおっていると批判している。

最高裁判事の後任人事にも注目

米連邦最高裁のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が18日に死去したことを受け、後任人事をめぐる与野党の攻防が激化している。

トランプ大統領は、大統領選の結果が裁判に持ち込まれるだろうとした上で、大統領選前に後任を決めるべきだと主張している。

「(大統領選の結果は)最高裁判所まで持ち込まれるだろう。だから判事が9人そろっていることはとても重要だ」

また、民主党が郵便投票を詐欺に悪用するという主張も、後任人事を急ぐ理由としている。

現代アメリカでは、大統領選で敗北した候補が結果に異議を唱えたことはない。

ギンズバーグ判事の死去を受け、米最高裁は長官を含む計8人の判事が5対3で保守多数となっている。

トランプ氏は26日にも後任を指名するとしている。大統領はすでに、保守派判事2人を最高裁に送り込んでおり、ギンズバーグ判事の後任も保守派になった場合、最高裁判事の構成は6対3で圧倒的に保守優勢になる。

郵便投票は詐欺の標的になる?

新型コロナウイルスの流行を受け、今回の大統領選では郵便投票の割合が大きくなることが予想されている。

連邦選挙委員会のエレン・ウェイントローブ委員は、「郵便投票が詐欺につながるという陰謀論に根拠は全くない」と説明している。

アメリカではこれまでに、いくつかの郵便投票詐欺が報告されている。2018年にノースカロライナ州で行われた共和党予備選挙では、候補者のコンサルタントが投票用紙で不正を行っていたことから、再選挙となった。

今年もニュージャージー州の選挙で郵便ポストに何百枚もの投票用紙が事前に仕込まれていたことが発覚し、民主党の地方議員2人が逮捕された。

しかし、ブレナン司法センターが2017年に行った調査によると、アメリカの投票詐欺の割合は0.00004~0.0009%の間にとどまっている。

一方でマサチューセッツ工科大学のチャールズ・スチュワート氏の調査では、郵便投票では投票用紙が紛失する確率が高いことも分かっている。

この研究によると、2008年の大統領選で郵便投票後に紛失した投票用紙は最大で760万票と、郵便投票した人の5分の1に当たるという。



(英語記事 Trump won't commit to peaceful transfer of power

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54275417

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