2023年2月5日(日)

WEDGE REPORT

2020年10月9日

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ピーター・マーケズ

米国国家宇宙会議上級顧問

米国防省勤務時代、空軍および国防長官府の様々な宇宙関連事業や機密事業に携わる。その後3政権にわたりホワイトハウスに勤務し、ブッシュ政権、オバマ政権では宇宙政策担当部長。日本宇宙安全保障研究所では現在理事を務める
 

 中国が発見したのは、米国とその同盟国が、宇宙開発プログラムから甚大な力を得ているということだった。軍事力および経済力に限らず、外交力もだ。スペース・シャトルと国際宇宙ステーション(ISS)は、世界各国の宇宙飛行士を乗せていた。また、米国の衛星が無防備な状態で宇宙空間の軌道を周回していることも知った。つまり、甚大な力の源もまったく脆弱だったということだ。

 中国は独自の宇宙開発計画を策定し、米国と日本を含む、他国の宇宙システムを破壊または妨害するための兵器開発に乗り出した。日本や米国など他国から盗用した重要なテクノロジーや知的財産に助けられ、中国はよく練られた周到な計画を立て、独自の宇宙開発計画と兵器を生み出した。

 湾岸戦争から約30年、米国、日本やその他の同盟国の衛星を攻撃する能力と政治的意図の両方を備えたことを中国は証明した。2007年、中国はこの能力の試験を行い、自国の衛星の一つをミサイルで破壊した。

 この衛星破壊実験により、宇宙空間には数千年にわたり残るであろう、膨大な宇宙デブリの空間が生まれた。このデブリによって他国の衛星が損壊する可能性があることを、中国は破壊実験の実施前から認識していた。ISSは滞在している宇宙飛行士を守るため、デブリを時折回避しなくてはならない。07年以降、衛星を攻撃するため、さらに多くの種類の兵器を開発した。また、巧妙に宇宙兵器を多様化し、地球上、宇宙空間、そしてサイバー空間にまで分散配置した。

 中国共産党指導部は、中国が日本や米国の衛星を攻撃できれば2つの目標を同時に達成できると確信した。すなわち、①日本と米国、およびその同盟国の安全保障と経済力の低減、②太平洋での中国の強硬的行動に対する、日本や米国、その同盟国の対抗能力の低減である。

 歴史的に見れば、中国の宇宙活動の形態は例外的であり、標準ではない。宇宙開発計画を行うどの国も、日本および米国と協力してきた。旧ソビエト連邦でさえも、冷戦の真っ只中、1975年のアポロ・ソユーズ共同ミッションで米国と協力した。

 米国、日本、また欧州の多くの国などは、数十年にわたり宇宙における力強い協力関係を享受しており、ともに太陽系を探査し、他の惑星へ着陸し、助け合いながら強く成長してきた。宇宙協力は、あらゆる人類の発展を促し、生活の質を高めるものである。

 では、なぜ中国は異なる道を選択したのだろうか。中国は、日本、米国、あるいは欧州と実質的な宇宙協力をすることに関心がない。というのも、中国共産党指導部が他国と価値観や目標を共有していないからだ。

 宇宙とは一筋の太陽の光であり、それは自由を照らして実現し、機会を創出し、より大きな使命へと人々を駆り立てる。宇宙によって、透明性の確保、開かれたコミュニケーション、そして自由貿易が可能となるのだ。


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